
Rhino 3Dの学習 14日目。今回からいよいよモデリング実習に入る。今まで学んだ基礎を使って実際にモデリングする。ようやくスタートラインに立った。とりあえず完成したモデル、もしかしたらBlenderでも作れるのでは?と思って検証していたら色んなことがわかった。サーフェスモデリングとポリゴンモデリングの違いが明らかになった。ポイントはフィレットだった。

正式名称は「ライノセラス(Rhinoceros)」という3DCG CADソフトですが、ここではRhino 3D またはライノ 3Dと呼ぶことにします。
また角が丸い処理、フィレットのことを「角丸ベベル」とも呼ぶことにします。(Blenderではベベル+角数でフィレット相当なので。)
(約 4,300文字の記事です。)
どこから見ても、ドライバー
まぁ、普通のドライバーですね。






The 普通。違和感のない仕上がりとも言える。
逆に言うと工業製品としてのドライバーとして何の違和感もない造型に仕上げられている、とも言える。ポリゴン臭さもないし変に鋭角なエッジもない。綺麗にフィレットで角丸化されているし、金属の棒とグリップ周辺にあるにある、自然な凹凸も、ごく普通によくある形だ。





100均製品だとよくお尻にバリがあるよねw
作り方と言えば、お察しの通り、カーブを描いてRevolveで円筒化。また6つの円環配置の円筒でブーリアン減算後にフィレットで角丸化。ドライバーの先端も同様に板ポリでブーリアン減算。やってることはシンプル。
だんだん分かってきたRhino 3Dの特性


基礎学習で色々混乱していた部分も、実際にモデリングをやってみると体で分かってくる部分が増えた。
- カーブとトリム
- ソリッド・サーフェスとブーリアン減算
- フィレット、2つのカーブ間を滑らかにつなぐためのカーブ用コマンドが複数(使いこなしは今後の課題)
- 円の描き方にもバリエーションがあるコマンドの使い所(かゆいところに手が届く)
割と満足感の高い作業だった。かつてFusion 360を学んだときの違和感がライノ 3Dではあまり感じなかったことが大きい。



Fusion 360の場合だと確かひたすらに「平面でお絵描きして、押し出す」ことが多かったり、フィレットで角を丸めることが多かった。なのでモデルの仕上がりがどうしても単調に感じていた。
今回ライノ 3Dで最初のモデリングでこのドライバー、確かに基礎練習にはかなり向いている。シンプルだが、カーブの使い所が結構多いのでバリエーションの練習にぴったりだ。かといって難しい操作でもない。
仕上がりのレベルに対して手数は少な目
ポリゴンモデリングの場合を基本として考えれば、細部の数だけ手数が増える。ところがライノ 3Dの場合だと、もちろんモデルにもよるだろうが、仕上がりのクオリティに対して作業工数はさほど多くはなかった。
実際にこの教材は講師が解説しながらの23分で、さほど長くはない。ビデオを止めながら作業して1時間45分で完成。これは慣れた人が黙々と作業をすれば、三面図の空間設置に5分、モデリングに5分、の10分作業でできるのだろうと思った。そしてできあがったモデルのクオリティは、特に悪くない。不満のない自然な仕上がりだ。
ポリゴンモデリングとの違い:フィレット
ライノ 3Dの場合はポリゴン密度という縛りがないので、幾何学的な滑らか表現に強い。赤い矢印のカーブは手作業でカーブを指定。まるでイラレのそれのようにプチプチと打ち込んで接線ハンドルを調整するだけ。



かつてのイラレの練習本でのベジェ曲線の練習を思い出した😊


青い矢印の部分はブーリアンで自動的に定まったクローズド・カーブにフィレットを指定しただけ。なのでカーブ形状は指定していない。数学的に自動的に定まった形状だ。
ブーリアン打ち抜き後の尖ったままだと手が切れるw なのでくぼみの周囲にフィレットを設置(青矢印)。画面左側のフィレットはR=0.2、右側は少し大きくしてR=0.5。手の掌に優しい😊対象となるエッジはブーリアン後のエッジを数クリックで範囲選択すればOK。あとはFilletコマンドの実行だ。The simple.
Blenderでも作れるのでは?
ちょっとだけBlenderの話に脱線することにした。さてこのドライバー、確かにBlenderでも作れる気がする。本体はローポリの円筒+サブディブモディファイアなどで作れそうだ。6箇所のブーリアン用の円柱も配置できるだろう。なのでテストしてみた。
フィレットで圧倒的な差が!


だが2種類のフィレットをかけたいのだが、ベベル・モディファイアでは本体全体に均一にフィレットがかかる。ブーリアン・モディファイアによって生成されるエッジは静的メッシュのエッジではないので、モディファイアによる動的な(仮想的な)エッジ、そこだけに対して指定したRでフィレットは、ちょっと無理っぽそう(もしかしたらアドオンなんかでできるかもしれないが。)



その上、なぜかベベルの量がある数値以上に大きくならない。おそらく両者のトポロジ依存。やっぱりだめぽそうだ。
となると一度ブーリアンして静的メッシュとして確定させる必要がある。そうなるとトポロジが変わる。


そしてブーリアンしてできたエッジ周りのトポロジが細かいと、フィレットのRの指定値がかなり小さい値に制限される。モディファイアのときと同じ症状。詰んだ……。
どうやら「ポリゴンモデリングとフィレット」というものは絶望的に相性が悪いようだ。



CADでは当たり前の「ブーリアン後にできるエッジにフィレット」が、ポリゴンモデリングでは絶望的に手間になる😱
ライノ 3Dで試してみたが、やっぱりあっさりできる。





フィレットに失敗するときというのはトポロジ縛りによるものではなくて、数学的&物理的に1つのソリッド内で描けるRを越えている場合。まぁ当たり前。
他の手段としてはハイポリにしてスムーズブラシみたいにゴリゴリと手動で角を丸くする手がある。ただしRがキープできないので、幾何学的と言うよりも「粘土をこねたもの」に近くなる。幾何学的な滑らかさは保証されない。美観は作業者の手腕に依存してしまう。CAD表現とは対極にある。
ハイポリとブーリアンの弊害
まずメッシュをブーリアンして確定させると必ず三角ポリが生まれる。三角ポリでも四角ポリでも関係ないくらいハイポリにするとして話を進める。そうなれば手動でフィレットを作る=メッシュにスカルプトすることになる。



ハイポリは面荒れが生まれる宿命。そして永遠のスムーズブラシ地獄の始まり😭
ポリゴンモデリングとフィレットは相容れない?
なので、ハイポリにすると「全体的な滑らか表現できる部位」は増えるのだが、ブーリアン演算後の処理は大変。特に面を整える作業が増えすぎる。
逆にローポリ+サブディブだとトポロジに形状が依存するので、形状とトポロジの依存関係が複雑になる(どこかで詰む迷い道?)結局、
- ポリゴン密度(滑らかさとブーリアンに関わる)
- トポロジ(サブディブとブーリアンとフィレットに関わる)
- サブディブの有無(形状に関わる)
- ブーリアンをかけるタイミング(後工程の全てに関わる)
- メッシュとしてブーリアンか、モディファイアか(形状と後工程とあとからの修正に関わる)
これらが相互に依存し合う。これがポリゴンモデリングの最大のネックだ。



そしてキャラクターモデリングではたまたまこれらの組み合わせの条件が緩い。ただそれだけだったのだ😱ブーリアンとフィレットがないと、かなりこの制約が緩和される。
実はBlenderでポリゴンモデリングを始めた頃に、なんで自由に角丸ベベルを使えないんだ?と結構ストレスを感じた。Fusion 360ではサクッとできた。そして今、ライノ 3Dでもサクッとできた。
ライノ 3Dの優位性:曲面の設定が楽
ポリゴンモデリングとは別次元の優位性
今回、初めてライノ 3Dで1つのモデルを完成させた。そしてポリゴンモデリングと比較してみようとしたが、フィレット、これの優位性が明らかとなった。ポリゴンモデリングの苦手なことは実は自由なフィレットの設定。これだ!
実はポリゴンモデリングとサーフェスモデリングの違いは些末な手数の違いではなくて、どうやら「曲線と曲面を扱う場合の、作業段階での自由さ」これが決定的に違うと感じた。ライノ 3D、というかCADのほうが圧倒的に自由だったのだ。なのでライノ 3Dの強みは最初の予感通り、滑らかに「自由に」変化しつつも一部で「Rをしっかりキープ」した曲面表現だったのだ😍


色んな有機曲面があるが基本がR一定の円弧ベースであり、部位ごとにそのRが異なる。握り部分は円弧ではない滑らかカーブ。これらの混成で「何の変哲もないドライバーだが、確かに現存するどこにでもあるドライバー」に見えている。



現物と違和感がないモデル。これがモデリングのクオリティに繋がる。
恐らくはライノ使いが10分で作るこのドライバーをBlender使いがポリゴンモデリングで作るとすれば、どうなるのか、分からない😭少なくとも私はこの品質でポリゴンモデリングで、Blenderでは作れる気がしない。
何となくだが、ポリゴンモデリングとライノ 3Dによるサーフェスモデリング、つまりは得意分野の明確な違いが分かったような気がする。
明日からも引き続き実践的なライノ 3Dモデリング講座が続く。楽しみだ。
ライノセラスを学び始めた初心者によく効くノウハウをnoteのマガジンにまとめています。興味のある人はぜひご覧下さい😊


今回の創作活動は約2時間(累積 約4,223時間)
(1,040回目のブログ更新)
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