3DCGモデラーと技術解説者の関係(漫画家と編集者)

とりあえず今日でBlenderのとある分野のモデリング手法について結論が出た。今日まで10日くらい、あーでもないこーでもない、とプロのBlenderモデラー様らを巻き込んで色々と実験していた。今日、ようやく完成。

大和 司

成果物は今後記事としてどんどん発表していく予定。お楽しみに😊

今回はそういう3DCGの中身ではなくて、単なる私の日記。

(約 2,900文字の記事です。)

目次

漫画家と編集者、3DCGモデラーと技術解説者

私は現役のプロモデラーではない。今はプロのテクニカルライターだ。だから私の武器は「技術的に正確な文章を、読み手に分かりやすく説明すること」だ。そしてなぜかご縁があって、今は3DCGのテクニカルライティングをしている。

だがこのことについて悩んでいる部分があり、親しい現役プロの人物モデラーに相談したところ、漫画家と編集者の話をしてくれた。

大和 司

数分後。全て理解した!

モデラーは「デジタルモデリング」以外にも忙しい

人物モデラーは、作りたいモデルがあって、それを完成させるために色んなスキルを身に付けて実践している。だがその実践だけではいずれ色んなことが頭打ちになる、とのこと。そう、ただ実践を繰り返しているだけになり、自分自身のスキルの進化を感じなくなってしまう、とのこと。アウトプットのみの繰り返し、これはどんな業種・業態にかかわらずよくある話。

そしてモデラーは優れた造型技術があるからこそ理想のモデルを完成させられるものの、そもそもそのモデルに人気が出るか、ウケるのか、売れるのか?ということはまた別問題とのこと。だから色々悩むらしい。

プロモデラーであるがゆえに、デジタルモデリング以外でも色々と忙しいようだ。

そのプロモデラー氏曰く

デジタルモデリングのあとの工程の方が重要でそっちの方にも時間とエネルギーを使いため、何でもかんでもデジタル造型だけにこだわって時間を使うわけにはいかないらしい。むしろデジタルモデリングが普及した今、実力の差は「デジタルモデリング以外の従来からあるような様々な手法」で出てくる、と。

ここで漫画家と編集者との例え話。描きたい=作りたい人、完成作品を世に広めたい人。この両輪が必要だってこと。編集者は「どんな漫画がウケるか」に一番詳しい人だ。

そして話が戻ってくる。モデラーとモデリング技術解説者(テクニカルライター)との関係について話してくれた。

モデラーが漫画家。テクニカルライターはモデルの販促には関わらないものの、3DCGモデリングという分野では「何をどうやって手順を効率化するか、修正作業の手間を減らせるか、どういう造型手法が最適か。新たなモデリング技法のメリット・デメリット」について詳しい人だ。なので、そういう人の助けがあればこそ、よりよい作品を効率的に作っていける、とのこと。

従来の手法に感じていた違和感について技術的に「これが非効率でこっちのほうが楽」というような具体的な情報や指摘を受けられること、こういうものに価値があるそうな。

要はアウトプットのみの繰り返しを打破して成長していきたい人にとっては、枯れたありふれたモデリング手法の情報だけではなくて、色んな技術解説もまた必要ということだった。

役割の違い、必要な能力の違い

漫画家と編集者、それぞれに要求されるスキルは全く異なる。

優れた編集者が面白い漫画を描けるわけでもないし、描ける必要も、描く必要もない。面白い漫画やウケる漫画を世に放つのが編集者の仕事だろうね。漫画家にいい漫画を描かせる環境を用意することが編集者の仕事だろうね。

だから3DCGモデラーと技術解説者も似たようなもので、モデリングスキルを駆使する能力と、それを解説したり分析したりツールを生み出して世に提供するスキルは別物だと理解した。そこをごちゃ混ぜにして考えてはいけない。

自分の才能の確認「解説する」

なのでテクニカルライターである私に期待されていることは「優れたモデルを作り上げた過去の経験」ではなくて、今現在、そしてこれから『優れたモデルを作ろうとしている人』にとって有益な情報を提供し続けること」、これだったのだ。

優れたモデルは、おそらくあなたのほうが上手く作れるだろう。だがしかし!それを完成させるためのノウハウの解説を、適切な言葉で、適切なタイミングで、適切な図や動画を使って分かりやすく説明できるか?となると、造型スキルを有していることと、それを人に分かりやすく説明できることとは、やはり別の能力なのだ。

美しい形を具現化することがモデラーの技術ならば、ライターの技術は「表現したいものを適切に伝えられるように言葉を選んで具現化すること」だ。それぞれで扱う対象が違う。

モデリングして「美しいものを美しく作る」ことはモデラーの仕事。私の仕事じゃない。私の仕事は技術面の情報を人に分かりやすく伝え、その情報を今後のモデリングに活用してもらうことだ。「どういうテクニックを」「どんなときに」「どんな手順で適用すればいいのか」の具体例を積み重ねることが大切だ。

そしてそれを駆使して優れたモデルを仕上げること、これはモデラーの仕事だ。存分に造型に関する才能を発揮してほしい😊

なので、モデラーの造型力を100%以上に引き上げるための技術的な情報の提供、これが私の仕事、ということになる。なので私が「優れたモデルを(将来的に)作ってひけらかす」ことは不要で、むしろ今まで通り地道にノウハウの蓄積・公開・メンテを積み重ね続けていくことが重要なのだ。

なので私はその友人との会話で、救われたのである。

解説者としての道を歩む

もし方向を誤ってしまえば、私はこれから優れたモデルを作る旅に出ているところだった。だが違った。優れたモデラーさんはすでにたくさんいる。私の仕事は、そういう人たちに、今後ももっと良いモデルを「効率的に」作るための情報を提供し続けることなのだ。その情報を言葉にして発信していくこと、これなのだ。

なので良いモデル作りの旅ではなく、よりよい解説の旅に出ることになったわけです😊

舞台はBlenderへ

そしてその舞台はZbrushからBlenderに移った。Zbrushはしばらくお休みです。(ただしあることを終えたらまたZbrushに戻る予定。計画済み🔔)

なので今はZbrush流の色んな常識をいったん捨て去って、ゼロからのスタートになる。そしてそれは実は必要なことだった。

  • ローポリ、ミドルポリの重要性
  • トポロジの重要性
  • ミドルポリだからこそBlenderの旨味を生かせる理由
  • Blenderの強み=かなり広範囲な可逆性(いつでも、何度でも)

などなど、Blenderという舞台だからこそ使える演出(手法)が、たくさん分かった。

なので今後しばらくはBlenderで効率的な人物モデリングに関する記事を執筆していく予定です。

今日の日記はこれまで!🍺

今回の創作活動は約1時間30分(累積 約3,658時間)
(984回目のnote更新)

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