(約 5,900文字の記事です。)
今後の自分の活動方針がほぼ決まった。そしてこれから私が学んだり使ったりするツールについてまとめてみた。これらは今後の私の活動方針に大きく関わる。
今後使い分けていく3DCGツール5選
3DCGツールとしては以下の5つを使い分けることにした。
- Houdini(動画撮影環境、USD環境)
- Maya(UV展開、スキニング、アニメーションセット環境)
- (サブスタンス3Dペインター(高度なテクスチャリング環境))
- Blender(ポリゴンモデリング環境、リトポ環境)
- Zbrush(ハイポリモデリング環境、直感的なラフモデリング環境)
これ以外にもCLIP STUDIO PAINTでテクスチャをお絵描きしたり、After Effectsでコンポジットする可能性もある。
新規で学習予定のツール
- Houdini(繰り返し系・ランダム系モデリング、風景作成ツール、VFX生成、撮影環境)
- Maya(UV展開、スキニング、アニメーションキーフレーム打ち込み)
- After Effects(コンポジット、VFX追加)
- (場合によってはサブスタンス3Dペインターの深掘り)
なぜHoudiniなのか?
理由はいくつかある。
- 現時点でUSD(Universal Scene Description)に完全対応した数少ないツール
- プロシージャルな繰り返しモデリングやランダム系のばらまきモデリングに強い
- 煙や霧などのパーティクル系や破壊系のVFXに強い
- ライティングやカメラワークなど撮影環境として定評がある
以下で詳細を見ていこう。
① USDに完全対応
まず①だがこれがまずは重要。現在ではHoudiniのSolarisだけが完全にUSDに準拠している。貴重なツールだ。おそらくは今後数年はUSDといえばHoudiniという状況が続くと思う。
たぶんここからさらに3年以上経てば色んなツールの互換性が出そろうだろうが、それまでの間にUSDワークフローにHoudiniを用いたワークフローが当然に仕上がっているだろうから、Houdiniにかなりの利があると判断した。
② 繰り返し構造やランダム系のばらまきモデリングに強い
②については最初は全く考えていなかったのだが、Houdiniのチュートリアルに一通り目を通してみたところ、想像以上に繰り返し系のモデリングに強いことが分かった。それはノードによるプロシージャルな実装が功を奏している。
例えば鉄道の背景なんかはHoudiniが最も得意とするシーンだろう。枕木、砂利、レールは規則的に並ぶが各々に微妙な揺らぎをランダムに与えることで自然に仕上がる。また架空電線を支える支柱も一定間隔で並ぶものの、それらは曲がりくねったレールに沿って並んでいく。非直線でありながらも規則的かつランダムに、というのがHoudiniが最も得意とするモデリングだ。
Blenderのジオメトリノードは?
そしてこれについてはBlenderのジオメトリノードがほぼ同じ機能だろう。だがジオメトリノードはHoudiniに比べれば歴史が浅く、かつ応用可能なノウハウの公開情報量が少ないと感じる。(例えばぱっと見が派手でも「それを何に・どう応用できるか?どういう手順で実現できるのか?【重要】」が思いつかないなど。)
応用の幅が未知数過ぎるのだ。
個人でジオメトリノードについて孤軍奮闘&試行錯誤するよりも、既に枯れきったHoudiniによるノードベースのプロシージャルなモデリングスキルをチュートリアルに沿って効率的に学んだほうが将来的に速効で役立つだろう。しかもその使い方はレンダリングでそのままVFX利用時でも「Houdiniの作法」に従っているので学ぶ上でなじみがいい。いいことずくめ。
③ 煙や霧、破壊系のVFXに強い
③についてはゲームクリエーターならば常識かも知れない。いわゆるパーティクル系エフェクトだ。そして破壊に関してはUE5でChaos Destructionが出るまでは破壊と言えばHoudini一択だった気がする。そして実際HoudiniとUE5, Unityとの相性の良さは現時点で既にプロレベルで折り紙付きだ。
④ ライティングやカメラワークなど撮影環境の魅力
④についてはPixarで実証済みなのでこれもプロレベルで枯れている。
なので将来的に3DCGで動画を作るならばHoudiniが最適だと判断した。
要するにHoudiniは将来的に3DCGでプロの動画製作に関わるためには外せないツールだと判断した。
Blenderのジオメトリノードのデメリット?
BlenderのジオメトリノードはもしかしたらHoudiniのそれを実装するために作られた、とも言える気がする。けれど「そのノウハウはBlenderのジオメトリノード」でしか活用できない。Blender内部での応用も難しい気がするしBlender以外での応用の可能性も低いと思う。
それに対してHoudiniの場合はモデリングだけではなくて様々なVFXの実現の際にノードの知識をそのまま生かせる。応用の範囲がとてつもなく広い。
そしてHoudiniでプロシージャルなモデリングに習熟してしまえば、敢えてBlenderでそれをジオメトリノードで実現させる必要もない。メッシュとしてUE5, Unityに渡すとしても、レンダリングしてVFX動画にするとしても、Houdiniでそれができてしまうのであれば敢えてそれをBlenderで行なうメリットがないのだ。
この点でもBlenderで四苦八苦するくらいなら王道をHoudiniで学んだほうが将来的な応用の範囲が広くて深いと判断した。
MayaはUV展開とスキニング、アニメーションツール
UV展開とスキニングについては実はBlenderでもたぶん大丈夫だろう。ただしBlenderのスキニングで気になるのはBlenderでのボーンの扱いが「業界標準のMaya」と細かい点で異なることだ。ボーンの標準軸の方向の違い、末端に付くリーフボーンの存在、Blenderでは頂点アニメーション(頂点モーフ変形と呼ばれるような、シェイプキー変形)の中間位置に独立したポーズの頂点位置の指定ができないなど、業界標準のMayaと比較して「できないことが多い」と判断した。
(よくあるのは肘の曲げ角度の中間90度付近で肘の先を意図的に尖らせる変形を仕込むことでBDEF特有のボリュームやせを回避する方法。Blenderのシェイプキー変形ではこれが実装されていない。BlenderではMMDのように直線的な変形になるので変形の途中でボーンの回転角度を考慮した「別な形への変形」を「シェイプキーに」セットできない。補助ボーンの追加とボーンのドライバ設定という泥臭い実装になる。)
とはいえ、MayaのUSDでそういう中間の変形をSolaris上でも正しく再現できるかは今後検証する必要はあるのだが。ここでは「できると仮定」した上での話。
またUV展開やUVアイランドの調整のしやすさもMayaのほうがわずかに上。Blenderでもできるのだが大前提としてUV Toolkit 2.0 for Blenderアドオンなどがほぼ必須になる。この常につきまとう「アドオン依存の恐怖」がBlenderの最大の弱点だ。対してMyaではそのようなアドオン依存の恐怖もない。
ただし一部の機能についてはMayaよりもBlenderのUV機能のほうが便利なこともある。
だが、そういう例外を除いてはMayaのUV展開手法のほうがプロレベルで枯れているので鉄板のセオリーを身に付けやすい。
そして何よりも魅力的なのがMaya 2024のグラフエディタのスカルプトブラシ的な編集機能の実装。かなり直感的にモーションの調整をできると感じた。
もしかしたら今まで手付けアニメーションのしやすさでは3ds MaxかMayaかで色々議論があったが、これがもしかしたらMaya有利の決定打になるかも知れないと思った。まぁ3ds Maxでも次回以降のアプデで実装してきそうな気もするし、Blenderがこの機能を実装してくればそれはそれで業界的に競争が進んで面白く進化しそうだが、最初にMayaが実装してきたことに意味がある。
MayaのUSD対応はかなり良いらしい
Mayaはある時期から急激にUSD対応に動き出した気がする。なので現時点でかなりの部分がUSDに対応したようだ。これも重要な点だ。現時点で既にMayaでリグアニメーションの全てをUSDフォーマットにキャッシュ(テクスチャで言うところのベイクするイメージ?)したり、修正後に再びキャッシュし直すことが1~3クリックで実装できている。既にそのやり方がYouTubeで公開されている。
なのでMayaについては、静的メッシュが仕上がった後の工程「テクスチャリング用のUV展開とスキニング」から使おうと思っている。
静的メッシュ作成=モデリングツールとしてのBlenderとZbrush
なので序盤の「モデリング作業」ここまではBlenderが活躍できる。そしてそれがハイポリだったり粘土のような直感的な作業ならばZbrushの得意分野だ。そしてZbrushからGoBアドオンでBlenderと往復させられる。ここのノウハウは既に持っている。
なのでやたらめったらBlender vs Mayaの構図にする必要はないのだ。適材適所で使い分ければいいのだ😊
そして静的メッシュまででいいならばBlenderでもUSDインポート/エクスポートができるらしい。となるとFBXやOBJでMayaに渡す必要はなくて、ここからいきなりUSDワークフローに入っていける。
サブスタンス3Dペインター 8.3 がUSDに対応
そして2023年の初旬にサブスタンス3Dペインター 8.3 がUSDインポート/エクスポートに対応してきた。
そう、今後の3DCG業界では確実にUSDワークフローに統一されていくことになると予想している。それが動画撮影でもゲーム作成であっても。
もしかしたらZbrushとBlenderも最終的にはUSDでメッシュの往復ができるようになるならば、GoBアドオンもいずれは役目を終えるときが来るのかも知れない。来ないのかも知れない。
ま、誰かがそんな便利ツールを作ってくれればの話だ、そうなるまではGoBアドオンでZbrushとBlenderの往復がワンクリックでできているので、特に問題はないが。
Photoshop+PremiereよりもAfter Effects
当初はPhotoshopとPremiereを学ぼうと思った。Premiereについては最近に書籍を買って一読した。だが今となってはどうやら自分に必要なのはAfter Effects(AE)だ。やりたいことが5分程度の動画作りなので。
そしてシーンをつなげるだけならばPremiereに限らずどんな動画編集ツールでも使い方は同じ。タイムライン上に並べてカット編集かディゾルブをかける程度だ。別にYouTube動画を作りたいわけではないのでテロップの出し入れも不要。ぶっちゃけ使い慣れたVegas Proで十分だ。
そして静止画1枚絵ならばPhotoshopもAEもさほど変わらないはず。写真品質のような4K以上の高画素画像を扱う予定がないので、静止画1枚をAEで加工するスキルを身に付けてしまえば4K以下の静止画加工も、もちろん動画のコンポジション加工もできる。
AEを身に付ければ一粒で二度美味しいことに気が付いたのだ😍
加えてHoudiniのレンダリング結果をレンダラーのKarmaの表現力だけに依存させずに、各種マップの結果を1つずつパラレルに動画に出力させてAE上で仕上げる(写真で言うところのRAWの現像みたいなもんか?)ことで無限の「レンダリング待ち&修正」の繰り返しからも脱出できる。なので私に必要なのはPremiereではなくてAEだったのだ。ようやくハッキリと分かった。
でもこれでPhotoshopをもう一度学び直さずに済む。なおお絵描きはCLIP STUDIO PAINTで慣れているのでテクスチャの微調整はもうCLIP STUDIO PAINTでいいや、と思っている。そしてたぶん、4K以下の画像ならばPhotoshopでできることはAEでもできるでしょ?とも思っているので。テクスチャマップはせいぜい2K程度なので十分扱える。
ようやく3DCGでやりたいことが決まった
以上の全ては3DCGでやりたいことを決めたから。ようやく決まった。学習の道筋は長い。だがこれによってどんな3DCG業界にでも通用するプロフェッショナルなスキルを身に付けるモチベーションができた。
あとはやるかやらないか、それだけだ。でも多分、やる。ゴールをピン留めしたら、あとは経路を決めて歩き出すだけだから。歩き続けていれば、ナビが壊れていない限りはいつの日か必ずゴールに辿り着く。だからあとは歩みを止めないように進み続けることだけだ。
明日から、色々と自分の行動を変えていこうと思います。
乾杯🥂
今回の創作活動は約2時間30分(累積 約3,311時間)
(903回目のブログ更新)
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