(約 5,600文字の記事です。)
このページは「BlenderでMMDモデル改造のヒント集(以下、当マガジンとも呼びます。)」の全編に共通する内容をまとめたページです。
当マガジンは①初級編、②中級編、③上級編+その他、の3部構成で執筆を開始します。(将来的に変更があるかも知れません。)全編に共通する「はじめに」の章にあたる部分をこのページにまとめて書こうと思います。
更新履歴
2023/06/22 PMXエディタに関する記載を追記。マガジンDL先を追記。
2023/06/20 執筆。
なぜPMXエディタではなくBlenderか?
MikuMikuDance(以下MMD)のモデルを改造するための編集ツールとしてはPMXエディタが有名だ。他にXISMO(キスモ)という無料のツールもあるし、メタセコイアという選択肢もある。だが当マガジンでは敢えてBlender+MMD Toolsアドオンをメインツールとして採用した。理由は簡単で、MMDを楽しみながらBlenderという無料のDCC(Digital Content Creation)ツールに慣れることにとてもメリットがあるからだ。
MMD Toolsという無料アドオン
Blenderとこのアドオンを使うことで、私の体感としてはPMXエディタの8割ほどの機能をBlender上で実現可能だと感じた。残り2割はどうしてもBlenderでは実現不可能な編集内容であり、その場合にはPMXエディタを使わざるを得ない。ただしPMXエディタを「いつでも自由に使える」わけではなく、ワークフローの効率化の都合上、最後の最後、ファイナライズの直前にPMXエディタでその編集を行なって仕上げる、という手順になる。
結果、MMDモデルの改造に関する8割をBlenderで行えるような実力が身に付く上に、MMD以外の3DCGキャラクターのセットアップにBlenderを使うための基礎技術が身に付く。MMD以外にも応用できるようなツールに意味がある。
MMD自体は2014年頃の開発終了宣言からもうすぐ十年に近づいており、例外的に2019年に更新されたものの今後いつ更新されるかは不明だ。本当に更新終了になったとしてもBlenderを使ってMMDモデル改造を楽しんだ技術と知識は別の3DCGキャラクターセットアップに十分生かせる。これまでのカスタム経験を次のステップに生かせるのだ!ここに意味がある。
「MMDで遊んで、楽しかったな、おしまい」という閉じた終わり方をしなくて済む。
だからこそ当マガジンではBlenderによるMMDモデル改造にこだわることにしたのだ😤
当マガジンの狙いは十分に理解できたと思う。次から当マガジンで解説すること・しないことの具体的な内容の説明に入る。
❌当マガジンではPMXエディタを使いません
当マガジンではPMXエディタを使った改造方法については解説しない。理由は大人の事情だ。察して欲しい。もし解説するとしてもブログ記事として執筆し、noteのマガジンには含めない。そもそもPMXエディタはできれば&できるだけ使いたくないのだ。
理由は色々あるが、PMXエディタの使い方について解説する気がないというのが本音だ。せいぜい参考URLをブログ上で紹介する程度に留まるだろう。
当マガジンで「できるようになること」
当マガジンでは基本的に「既存モデルを最短の手間でお好みに改造する」ことを目的としています。ですので「ゼロからキャラクターをセットアップする」ために必要なノウハウはほとんど解説していません。
当マガジン全編でやる予定の項目は以下の通り。(ただし今後変更する可能性があります。ご了承下さい。)
Blenderでやること
Blenderでやることは以下の通り。
- メッシュの編集(変形、トポロジ変更、メッシュの修復)
- ウェイトの編集(編集操作、別メッシュからのウェイト転送)
- Blender上でのペイントツールを使った簡易的なテクスチャ編集
- モーフの追加と編集(頂点モーフ、材質モーフ、グループモーフのみ。ボーンモーフとUVモーフは解説予定なし)
- 材質の制御(分離、複製、調整)
Blender以外でやること
また例外的にBlender以外でやることに関する予定は以下の通り。
- CLIP STUDIO PAINTを使ったテクスチャ編集の簡易なTips
- MMD上でのコツ(※)
- カメラ編集のコツ
- 目線追従エフェクトのコツ
- ストッキングエフェクトのコツ
- avi出力から短時間でのmp4化のコツ
これだけのことができるようになれば少なくともMMDモデルの改造に十分な知識と技術が備わるはずだ。
当マガジンで「できるようにならない」こと
逆に当マガジンで解説していない・解説予定のない項目は以下の通り。
- Blenderの基礎解説
- 剛体とジョイントの編集
- 首のすげ替え方法
- エッジの線画表現はなしを基本とする
- 背景の追求
- Ray-MMDなどのレンダリングの追求
Blenderの基礎技術については書籍やKindle本などで各自知識を補充しておいて欲しい。基礎から解説しているといつまで経っても本質の解説に辿り着けない。例えばGRSキーの基本操作やLキーによるメッシュアイランドの選択など、Blenderでメッシュを操作するための基本操作はマスターしていることを前提とする。
(例えばG, Xキーで選択中の要素をギズモのX軸方向へ移動できる、ギズモを3Dカーソル位置に設置するために○○する、なんてことは解説しません。)
○○を××に移動させる/縮小させる、ギズモを3Dカーソル位置に設置する、などの解説に留まります。
剛体とジョイント、これはセットアップするならば必須の知識だが、MMDモデル改造ではそこまでの知識が不要。せいぜい削除くらいであって新規に剛体やジョイントをセットアップする必要はない。なのでこれらについての解説予定はない。
首と体や衣装のすげ替えについても解説しない。もちろん当マガジンを理解すればBlender上で首から上と下とを入れ替える編集は可能になる。それだけの知識が手に入る。だがそれについては当マガジンでは解説しない。理由としてはボディーバランスの破綻の問題と、既製モデル作者へのリスペクトだ。もちろん個人で楽しむ分にはすげ替えについて何の問題もないので、それについては各自で調べてみて欲しい。
MMDではメッシュ境界線を線画で表現することができる。アニメ絵のような表現が可能。背面法などが有名。だがこの「3DCGにおける線画表現」というものは、実はとても奥が深くて、そんなに簡単な話ではない。なので当マガジンでは思い切って「線画表現はなし」のMMD表現を前提として説明する。これは苦渋の決断だが、ある程度リアルな肌の3次元表現と線画表現は微妙に食い違うのだ。ものの見え方に線画が入るのはアニメ絵の世界だけであり、スマホのカメラで人を撮影しても線画が入らないわけで、リアルとアニメ表現との境界線を与えるのが線画なのだ。今回はそういう難しい問題を回避したいので、MMD上での線画表現は全てOFF(線の太さがゼロ)を基本としている。
これは当マガジンの仕様なだけであって、実際のMMDでは各自のお好みの設定でお楽しみ下さい😊
またMMD動画を人に見せる場合、演出としての背景モデルへのこだわりや被写界深度などの演出要素があるが、これらについても解説しない。これらは本質的にMMDモデルの改造とも違うし、Blenderでのキャラクターモデルのセットアップとも異なる。MMDというソフト+MikuMikuEffect(以下MME)に習熟したい人だけが追求すべき分野だから当マガジンでは解説しない。
同様にMMEを介したRay-MMDによるリアルな質感の追求、これも当マガジンでは解説しない。ハマった人が存分に追求すればいいと思うが、Ray-MMDの質感追求にのめり込むと、3DCG分野におけるシェーダーのセットアップという、全く別の深い領域の話になる。これも当マガジンの狙いから大きくずれるので解説しない。
Ray-MMDは底なし沼
もちろん各自でRay-MMDの可能性を探ることはとても楽しいだろう。実際に私もある時期にはRay-MMDのリアルな表現に魅了された。だがあまりにもセットアップの手間がかかりすぎる上に、MMD以外への応用可能な知識がほとんど身に付かなかった。(加えてモデル側へもRay-MMD専用のカスタムが必要になる。そのためモデル管理が煩雑になり、シンプルにMMD+各種モデルの使い回し+別曲で楽しむということが難しくなる。)
Ray-MMDに限らず、3DCG全体でそもそもシェーダー表現は奥が深いし、リアルタイムとなるともっと複雑で、加えて「何のソフトでレンダリングするか」というツール依存の部分も多い。Blenderなら非リアルタイムでCyclesもEeveeもあるし、リアルタイムならばゲームエンジンのUnityやUE4, 5でダンスさせているムービーも見たことがある(利用規約の話はおいといて、技術的には当然可能)。
またプラットフォームごとに物理演算の特性やパラメータや指定方法も全く異なる。こうなってくるともうカオスだ。お好きにどうぞ、としかいいようがない。
色んなプラットフォームで色んなリアルな質感を追求できる。そしてライティングの話も入ってくる。これらは本当に深くて広い領域の話になるので、当マガジンでは触れないことにした。
3つのエディションについて
さて次からは3つのエディションの特徴について簡単に説明する。
初級編の特徴
初級編では基本的なMMD Toolsの使い方を中心に解説する。またメッシュの編集の基礎と罠について解説する。モーフについては材質モーフに関する知識や注意点を解説する。PMXモデルと一般的な3DCGモデルの違いについても解説する。
中級編の特徴
中級編では初級編の操作をより効率化するためのたくさんのコツや知識をお伝えする。同じ作業をするならば早くて正確な方がいい。
また中級編では「既製モデルにはないオリジナルの頂点モーフ」を作成・追加する具体的な方法についても解説する。また初心者が慣れてきた頃にハマる「壊れたメッシュの直し方」などについても解説する。
上級編+その他の特徴
上級編では、中級者がハマる罠の回避策について解説する。中級編まででかなりのことができるようになったはずだが「どう考えてもあり得ない罠」にはまってそこから抜け出せず、それまでの編集がパーになってしまうという罠を回避するヒントを解説する。
また中級編以上に効率的なメッシュの成型方法について解説する。これも効率化に大きく関わる。
そしてMMD上での見栄えの問題の解決策についても解説する。主に「望まないハードエッジの回避策」について解説する。例えば肌の途中になぜかシャープなエッジができてしまう場合など。
おわりに
MMDに関する情報は2014~2017年代のものが多い。MMD自体がその頃が最盛期の後期であり、その後にたくさんの有志が執筆したブログもニコニコのブロマガ終了によって消えていった。なので2023年にMMDに関する情報を執筆してくれる人はほとんどいない。いても極少数だ。
なのでこのマガジンが2023年6月以降の今後に「MMDモデルをカスタムして楽しみたい!」「MMDを通じて3DCGを始めたい!」という読者の皆様のお役に立てれば嬉しいです。
まずはMMDダンスを楽しんでいきましょう!😊
2023年6月20日
大和 司
マガジンのDL先はこちら
今回の創作活動は約2時間30分(累積 約3,255時間)
(891回目のブログ更新)