(約 3,200文字の記事です。)
Zbrushで造形していると、例えば「指先のハイポリメッシュ」と「上腕の粗いメッシュ」とを何とかつなげてワンメッシュにしたいと思う場合がある。枯れた手法では「仕上げ直前にダイナメッシュ」で結合したりする。だが色々と悩ましい問題も多かった。今回は部分的なハイポリとローポリとをトポロジ的につなげてワンメッシュにする手法をご紹介。
ワンメッシュ化できることのメリット
過去のよく知られた手法では、手、頭、体、というようにメッシュ密度の違うパーツはサブツールで分けて作業をし、転写で接合部分の位置関係を揃え、仕上げ直前の最後にダイナメッシュで結合する、という手法が多かった気がする。だがこれだとポーズ変更時や、最終結合時に苦労する。
ダイナメッシュでは形状がわずかに変化するリスクがあるし、トポロジとして非多様体になるリスクも知られている。
仕上げ直前に使うなど個人的には恐ろしすぎる。
とにかく色々と気を使うシーンが増えるのだ。
本来は1つながりのメッシュであるところを、2つに分離させつつも、最終的に1つにつなげるための工夫というのは、何とも本質的ではなくて無駄だなぁ、と当時からずっと思っていた。
だが今回の手法で、メッシュ密度が異なっていても問題なく1つのメッシュにつなげることができる。これは本質的だ。メッシュの重なり位置に気を使わなくてもいいし、サブディビジョン・モデリングがしやすい。メッシュ結合後にはソースメッシュが不要&転写も不要なので、仕上げ直前のポーズ変更の微調整も可能。
いいことだらけだ。
またBlenderを使えば結合作業も5分で終わる。RetopoFlowのコンターツールを使えば3分程度でZbrushに戻して作業を続けられる。
Zbrushだけでは厳しい。Blenderを使います
ただ、残念ながらZbrushだけでは当手法は実現がかなり難しい。無理矢理やればできなくもないだろうが、効率が悪い。Blenderを使ってサクッと処理できるのだから。なので前提としてはZbrush+Blenderになります。Zbrushオンリーでは実作業時間がどれだけ膨らむか分かりません(笑)
RetopoFlowというリトポ専用アドオンを使うと更に効率的に作業ができます。RetopoFlowの記事はこちら。
具体的な手順
ZbrushとBlenderを使います。RetopoFlowがあれば快適ですが、Blender純正機能でも代用可能。
詳細は有料記事です。結構試行錯誤しました。
(おまけ)3DCGでは効率化のために色んなツールを使う
RetopoFlowというトポロジ制御専用アドオンを使えるようになった今、ZbrushとBlenderとで使い分けがハッキリした。
Zbrushで形を作り、完成型が見えたら、ZRemesherとRetopoFlowとBlender標準ツールを駆使してリトポ。GoBでZbrushに戻してサブディビジョンレベル+転写で復元。この2ステップでようやく「本当に使える3DCGメッシュ」の完成だと思っている。このメッシュならばUV展開してサブスタンスペインターで扱いやすいし、リグ入れしてゲームキャラも作れる。
もちろんデシメーションマスター経由で3DCGプリントするならばリトポ作業は不要だ。無駄な作業となる。なのでフィギュア造形関連ではあまりリトポの話題を聞かない。一部の造形師がサブディビジョンモデリングで造形するための手段として、作業の途中でリトポを挟むワークフローを利用しているくらいだろう。
ただ、もしフィギュア造形にしても、最初のざっと大まかな形をラフモデリングしたら、その後にリトポして「後工程で楽するための使いやすいトポロジ」にリトポしてからディバイド+転写で形状を復帰させ、後工程に向けてハイポリ化していく作業工程は、理にかなっていると思う。
トポロジの流れがいいと後工程の作業が楽になるのだ。トポロジ制御ができていなければ、とにかくディビジョンレベルを上げてのハイポリ作業でごり押しするしかないが、ハイポリにはハイポリ独特の癖・デメリットもあるため、何でもかんでもディビジョンレベル上げで対処することは、後半戦に向かうにつれて苦しくなる。
解決のヒントは序盤の終わり頃にトポロジを整える作業=リトポ作業にある。
ポリゴンを結合するなら、作業の序盤の方が圧倒的に効率的。
今回の創作活動は約1時間30分(累積 約2,256時間)
(691回目のブログ更新)
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