(約 4,200文字の記事です。)
Razer Tartarus ProがAmazonから届き、ボタンの感圧化の改良を施した。いよいよZbrushとCLIP STUDIO PAINTとで実践的なキー配置を試してみた結果、色々と残念なことが分かってしまった。なのでこの記事はTartarus Proの残念なところの記事になります。個人的にとても期待していただけに残念。
以下、1つのボタンを普通押しした際に発動する機能を第一機能と呼び、そこから更に強押しした際に発動する機能を第二機能と呼び、1つのボタンで第一、第二機能を呼び出せる機能のことを「デュアルファンクション」と呼びます。筆者の造語です。
Tartarus Proでデュアルファンクション化できないこと
あらゆる組み合わせができるかというとNoだった。残念すぎた。
第一機能で修飾キー(Ctrl, Shift, Alt)を押すと、第二機能でもその修飾キーがそのまま引き継がれる
例えばテキストエディタで試してみよう。第一機能にShift+aを割り当て、第二機能に単なる小文字のbを割り当てたとしよう。普通押し時には大文字のAが出力される。そしてそこから強押しすると、残念ながら小文字のbではなくて、大文字のBが出力される。つまり第一機能の修飾キーが解除されることなくそのまま第二機能に引き継がれるのだ。
そのため、第一機能と第二機能にそれぞれ別々の修飾キーを使ったキーコンビネーションを割り当てても、残念ながら第二機能は正常に発動しないことが多い。
ゆえに正常にデュアルファンクション化して運用するためには、
- 第一機能には修飾キーなしの基本キーを割り当てる
- あるいは第一と第二とで共通の修飾キーにする
- またあるいは第二機能には第一機能よりも更に追加で修飾キーを押すキーの組み合わせにする
上記3パターンのどれかでしか「デュアルファンクションを使えない」ことが判明。
つまり「本当に自由な2つのキーを組み合わせることはできない」ということが判明。
う~ん、これは使いにくい。想定とは異なっていたぞ……。というかこれは公式ページを見てもAmazonを見ても書いていない情報だ。
マウスボタンをキーに割り当てると第二機能を割り当てられない
これも想定外。第一機能にマウスの右ボタン、第二機能に別のキーを割り当てようと思ったらそれができなかった。マウスのボタンを選ぶと第二機能の選択肢が出てこない。
これも公式ページにもAmazonにも書いていない情報だ。左手に右ボタンやホイールボタンを割り当て、強押しで別のブラシを呼び出す予定が、それが使えない。これならV2と何も変わらないぞ……。
ホイールの回転操作にはマクロを割り当てできない
ホイールの回転操作にはマクロを割り当てできない。なので、ホイール1ノッチあたり2~3倍のホイール回転やズーム用ホットキーの2, 3倍押し操作を割り当てできない。それをやるためにはそのマクロを作った後にプッシュ可能なキーにそれを割り当てるしかない。
個人的にはズーム量を2~3倍にして大きく動かすつもりだったので残念。別ソフトのX mouse Button Controlという全く別のソフトを利用してそのソフト側でアプリごとにホイールの回転量をN倍化する作戦しかない。ま、それをやればマウスでもズーム量が増えるので良いと言えば良いのだが……。
修飾キー+マウスボタンの組み合わせができない
これも以外だった。例えばShift + 右ボタンなどの組み合わせをキーに割り当てられない。これならばX mouse Button Controlが必須だ。組み合わせをX mouse側に設定し、左手キーボードではシンプルに右ボタンなどを呼び出すしかない。それで回避できるものの、残念感は否めない。
CLIP STUDIO PAINTのツール呼び出しに制限がある
CLIP STUDIO PAINTのツールではアルファベット1文字が割り当てられる(なぜか修飾キーは併用できない)。で、1つのキーに複数の機能が割り当てられた場合、そのキーを押すごとにトグル切り替えされるのだが、デュアルファンクションの第二機能にそのキーを割り当てると、残念ながらトグル切替えできない。
(もちろん第一機能にそのキーを割り当てれば普通押しを繰り返すことでトグル切り替え可能。)
問題なのは第二機能のトグル切り替えが不可能なのだ。何度グッと強押しを連打しても、トグル切り替えにならない。
ただしこの問題は1つのキーに1つの機能を割り当てれば何の問題もなく使えた。
私の記憶ではデフォルトでBキーがエアブラシとデコレーションブラシになっていたと思うが、第二機能にBキーを割り当てても両者の切り替えはできない。が、デコレーションブラシを別のキーに割り当てるか割り当てを解除すると強押しで正常にエアブラシが呼び出される。
要するに1キーに1ツールならば何の問題もないという事だ。普通押しで塗りつぶし(G)、強押しで消しゴム(E)は普通に感圧で切り替え可能だった。
CLIP STUDIO PAINTのホットキー割当先の機能とリピート入力との相性問題が出る
例えば「編集>キャンバス>キャンバスを回転・反転>左右反転」に対してはTartarus Proの押しっぱなしリピート入力が無効化されて1プッシュで1回の機能の発動になる。
だがメインメニュー>表示>左右反転にホットキーを割り当てると1秒間に10回程度のめまぐるしい反転が起こる。これはTartarus Proに限らず普通のキーボード入力でもそうなる。自動リピートに応じてパカパカと左右反転がリピートされる。(うん?こりゃCLIP STUDIO PAINT側のバグ?)
キーボードならばワンプッシュで手を離せばいいが、Tartarusから連打入力された状態で上手いタイミングでキーを離せるとは限らない(笑)ディスプレイで左右反転が繰り返されて目がチカチカする。まるでパチスロだ。手を離すタイミングで結果が変わるなんてあり得ない。ホットキーの意味がない。
そしてデュアルファンクション状態ではSynapse側での「ターボを有効化」つまり1秒間のリピート数の指定が無効化される。
試しに第一機能のみの場合にしてみたところ、1秒で1プッシュが正常に動作した。だがデュアルファンクションにすると無効化されてキーが連打される。
で、デュアルファンクションでのキャンバスの左右反転の反応の鈍さも、なぜか第一機能のみの状態にするとキビキビと反応する。どうやらキャンバスの左右反転系ではデュアルファンクションでは運用できなさそう。1ボタン1機能でキビキビと切り替えるしかない。
う~ん、中途半端。
こういう地味な仕様上のNGが積み重なると「デバイスとしての信頼性」が低くなり、使いにくいデバイスということになるのだ。本当はとても嫌なのだ。
だがそれを補うメリットもデュアルファンクションにはあるので悩ましい。。。
デュアルファンクション、かなり制限がある
キーコンビネーションに制限がある段階で幻滅だが、マウスボタンとキーボードとの組み合わせもできないのは致命傷だ。デュアルファンクションで割り当て可能なキーの組み合わせが半減するかも知れない。人によっては旧製品のTartarus V2で十分かもしれない。
またCLIP STUDIO PAINTの例にあるようにソフトウェア側でも快適に使えないキーコンビネーションがあることが分かった。
Tartarus Proのいいところを紹介する記事を書くつもりだったが、残念な結果に終わった。
シンプルなTartarus V2が安くて実用的で便利かもしれない
ただでさえホイールを酷使して接点が駄目になるリスクがある以上、買い換え予算も検討すれば価格で1.5倍も違うProを選ぶ理由がないかもしれない。またV2でも静音化するための改良方法もあるので、もうProの価値がない、という人もいるだろう。
数個のボタンをデュアルファンクション化することに5千円分の価値を見出せるかどうか
例えば2, 3個のキーだけを感圧で切り替えて便利に使えるならば、仮想的に20個のキーが23個のキーになるわけだから、それだけの価値がある。一手間掛けてZbrushやCLIP STUDIO PAINT側のホットキー設定を変更してでも、最も指が届きやすいボタンについて、普通押しと強押しの二択で2つの機能を使い分けられるメリットは、やはりあると感じている。
それがたったの2, 3個のキーであっても、その利用頻度が高ければ、やはり5千円分の価値があると思う。普通押しと強押しの使い分けは、UIとしてはかなり直感的で分かりやすいからだ。
もうしばらく使ってみて考える予定。
今回の創作活動は約3時間30分(累積 約1,932時間)
(629回目のブログ更新)
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