据え置き型の左手キーボード(左手デバイス) Razer Tartarus Proを触った感想(2020年10月版)

(約 7,100文字の記事です。)

Razer Tartarus Pro 左手キーパッド 20個のアナログ動作スイッチ ホイール付 8方向サムパッド 32キーすべてをカスタマイズ可能 【日本正規代理店保証品】 RZ07-03110100-R3M1

Razer Tartarus ProがAmazonから届いたので早速いじりながらレビュー。とはいえかなり情報が出回っているデバイスでもあるので、ネットでちょっと調べれば分かる情報は割愛。私が主に知りたかった情報でネット上では見つけられなかった情報について書くことにする。

対象とする読者

  1. 据え置き型の左手デバイスがOKな人(握り込んで肘などを自由にしたい人には合わない)
  2. ホイールを複数の機能に割り当てたい人(最大8種類の切り替え、現実的には親指周りの6種類の切り替え)

ん?ほとんどの人が対象になるような。

目次

更新履歴

2020/10/08 色々と「できないこと」が分かった。致命傷もありました(泣)詳細は以下の別記事にて。

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テスト対象は「Razer Tartarus Pro」

返品・返金も安心なAmazon販売商品。当然正規代理店扱いなので万が一の保証も安心。

制御ソフトのSynapus 3はベータが取れた正式版になっていた

日本国内のjpサイトには画像が古いままのベータの文字が入っているが、本家のDLサイトではベータが取れている。またどちらからDLしても最新のSynapse 3がDLされる。バージョン番号にもベータなどはない。なので一応はリリース版、ということになる。

なお、ざっと触った感じも、さほど不安定さを感じない。(一部で操作上の罠がある。後述。)

なおMacでは使えない

こちらの記事をご覧下さい。なので基本的にTartarus ProはWindows専用デバイスです。

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ホイールボタンのノッチ(一段階ごとの引っかかり感)は弱めだが許容範囲

これが実は心配の種だった。情報によるとかなり緩いとのことだったが、実際に触ってみると、ノッチを感じられる。確かに一般的なマウスのホイールのノッチに比べれば弱いが、その1段ずつを感じ取れないほどのスルスルではない。なので普通に使っても1ノッチを感じ取ることは可能だ。杞憂で良かった。

前評判通りホイールボタンは絶望的

ホイールを押し込むホイールボタンは、残念ながら全く役に立たない。押し込むと同時にホイールが滑る。

もっとも、ホイールを押し込む操作は人差し指の付け根に多大な負荷がかかるのでオススメしない。左手キーボードのホイール操作は頻繁なのでただでさえ人差し指に負担がかかるので、その他の要素ではできるだけ人差し指にかかる負担を減らすべきだ。

なので、結局は、使いにくい実装だが、そもそも使わないと決めていれば何の問題もない。なので私には問題なし。

ProとV2との違い「1ボタンで2つの機能を使い分ける」ことは可能か?

Tartarus Proではボタンの押し込む深さによって、浅い場合には第一機能(例えばAキー)、深い場合には第二機能(例えばBキー)を送信することができる。

この機能に公式側で名前を付けていないのが問題だ。以下、当サイトではこの機能のことを「デュアルファンクション」と呼ぶ。

で、このデュアルファンクション、実際問題使えるのか?ネットで調べた情報では「押し込み量の違いがシビアすぎて使い物にならない」とのこと。

デュアルファンクションはそのままではやはりシビアすぎた

で、実機を触ってみた。うん、かなりシビア。とてもじゃないがそのままでは普通に使えない。

そのままでは、ね。そして筆者が一工夫した結果、普通に実用可能なレベルになりました。

ちょっと工夫を凝らした結果、ごく普通の力でボタンを押すと第一機能が発動し、底付きした感触から更にグッと押し込むと第二機能が発動するようにできた!これが欲しかった。

なお工夫した内容については後日別の記事で公開予定です。

工夫すると一気に化ける「驚きの左手デバイス」

今の私のTartarus Proは1つのボタンで2つのブラシを呼び出せます。ボタンが感圧ボタンになったようなもの(笑)普通に押してクレイブラシ、グッと押し込んでムーブブラシ、というように。

これを実機で試してみたかったので、V2ではなくてProを買ったのだ!そして実現できた!!!今はもうTartarus Proで左手に割り当てきれないほどのキーの組み合わせがあります。

1つのソフトについて最大228個のホットキーと8種類のホイール操作を割り当て可能

人差し指~小指までの19キー×2×親指周りの6キーによる6種類のキーマップ切り替え=19×2×6=228個のショートカットを左手キーボードに割り当てられる(笑)

(キーマップ切り替えはタイムラグなしで瞬時に切り替え可能。一時切り替えボタンを押している間だけ所定のキーマップになり、それを離すと瞬時に元のキーマップに戻る、という設定も可能。むしろそれができないと困る(笑)瞬時の切り替えと元に戻せるってのが重要。

キーマップ一時切り替えボタンは主に親指周りに配置。親指ボタン+ホイールで6種類のホイール操作が可能。筆者オススメの使い方。なお仕様上はキーマップは最大8種類まで割り当て可能。)

なお親指の付け根の保護の観点から、親指下のスペースキーについては感圧ボタン化しない予定。親指の付け根にもまた負担が集中しやすいので、そのボタンを敢えて感圧化して強い力で押し込むようにすることは得策ではない。

ソフトごとに割り当てるプロファイル数は無制限、しかもウィンドウ切り替え時の自動切り替えも可能!

さて、上記の機能は1つのソフトウェアに対する1つのプロファイル割り当てであり、ソフトが変われば当然まるごとプロファイルを変えることができる。そしてもちろん、複数のソフトを別ウィンドウで起動させている状態で、ソフトAのウィンドウを手前(アクティブ)にすると自動的にプロファイルAに切り替わり、別のソフトBのウィンドウをアクティブにするとプロファイルBに自動で切り替えるという設定が可能(実験済み)。

なおプロファイルの自動切り替えには2秒ほどのタイムラグがあります。(対して上述したキーマップ切り替えはタイムラグなしで瞬時に切り替え可能。)

Tartarus Proの特徴のまとめ

なので特徴をまとめると、

  1. 一工夫することで実用的な2種類の感圧ボタンになる(デュアルファンクション、普通押しと強押しの2種類)
  2. 親指周り以外で最大228個のホットキー割り当て可能
  3. ホイールは6~8種類の回転操作を割り当て可能
  4. ソフトごとにプロファイル設定が可能
  5. プロファイルはソフトのウィンドウがアクティブになるごとに2秒で自動切り替え可能

これ、私の全ての要求を満たしたパーフェクトな左手デバイスです。6種類の親指ボタン+ホイールがあればどんな回転系入力にも対応できるでしょう(最大8種類)。また感圧ボタンによるデュアルファンクションで、最もよく使うボタンの「次によく使うボタン」を第二機能に割り当てれば、左手のホームポジションから指を動かさずにそれを呼び出せる。なので、レギュラーボタン4種類、準レギュラーボタン4種類の、合計8種類のボタンを左手のホームポジションから動かすことなく使い分けが可能なのだ!

左手の位置を変えずに8種類もホットキーを呼び出せるデバイスに進化するポテンシャル

左手の指の位置を変えずに8種類もホットキーを呼び出せるデバイスが、他にありますか?私は知らない(笑)ただし一工夫が必要。

もしTartarus Proが製品出荷状態でデュアルファンクションを実現できていたならば、伝説的なデバイスになっていたことだろう。今はまだポテンシャルのみで販売されている状態なのが惜しい。だが一工夫して新の実力を発揮させてあげればいいだけのこと。

さて、べた褒めのTartarus Proだが、実際に触ってみていくつか弱点も発見したので書いておこうと思う。

デュアルファンクションは厳密には2種類を使い分けられない

どういうことかというと、普通押し>強押し>普通押しに再び戻す、ということができない。一度強押ししてしまうと、その状態から脱力して普通押しに戻しても強押し状態の第二機能がリピートされるだけであって、第一機能に戻せないのだ。第一機能に戻すためには一度指を完全に脱力させるかキーから離した後に、再び普通押しするしかない。

例えばゲームのキャラクター操作で、普通押しで「歩く」、強押しで「走る」機能を割り当てていたとすると、残念ながら、歩く>走る>歩く、という操作を感圧操作だけでは実現できない。歩く>走る、指を離してから普通押しで>歩く、にするしかない。

全力ダッシュからこっそり歩く、という操作がワンテンポ遅れる。これはゲーム用途ではとても痛い。

将来的にSynapse 3のアップデートで改善する可能性はあるが、そもそも製品出荷状態でデュアルファンクション機能を使っているユーザーがいるのだろうか……。いなければバグ報告されないだろうし、当然対応の修正もされないだろう。

だがしかし、クリエーターが使う使い方としては今の実装で何の問題もない。普通押しでブラシAにし、強押しでブラシBが選択されればそれでいい。

こういう点からもTartarus Proはゲームデバイスというよりもクリエーター用左手デバイスだと感じる。皮肉である。

ソフトごとのウィンドウ切り替え時に自動でプロファイルが切り替わらない?(PC再起動で解決)

Synapse 3上で、プロファイル>リンク中のゲーム(実はゲームに限らずソフトウェアなら何でもリンク可能)を設定したら、PCを一度再起動させること。これである。もしSynapse 3をインストールした直後であったならば、なおさら最低でも1度はPCを再起動させる必要がある。

私はこの罠にはまった。Synapse 3のインストール直後であったことも原因だろう。何度Zbrush用プロファイルやメモ帳用プロファイルを作ってリンク指定して両者を起動させたりウィンドウを切り替えても、一向に自動切り替えが起こらなかった。ネットでも不具合を調べたが特に出てこない。困った。

ふとインストール直後であることを思い立ち、念のためPCを再起動させたらビンゴ!あっさりとZbrushとメモ帳とでプロファイルが切り替わった。

各ソフトウェアごとのプロファイル自動切り替えは、再起動後の初めての切り替え時に2, 3度は画面右下に通知ウィンドウが出るが、繰り返し切り替えていると以降は通知が出ることなくTartarus Pro側のプロファイルだけが静かに切り替わるようになる。

(このときテストとしてライトの照度に差を付けておくと見た目ですぐに分かる。テストが終わったらお好みのライト点灯状態に改めて設定し直せばいい。)

リンクさせていないソフトを選んでも最上位のデフォルトプロファイルが選択されない?

これも上記と同様で、PC再起動で何事もなかったかのように普通に正常動作する。例えばリンクさせていないGoogle Chromeを選んだ場合には、Zbrush用でもなくメモ帳用でもないデフォルトのプロファイル(のLED発光状態)になるはず。異常時にはそれが切り替わらないが、一度正常になってしまえばChrome選択時にはデフォルトプロファイルになる。

プロファイル自動切り替え関連は、おかしいと感じたらPC再起動で直る。豆知識。

プロファイルの自動切り替えには約2秒かかる

一度正常に自動切り替えが動作すれば後は安定動作。プロファイルの自動切り替えには約2秒かかるが、2秒待つだけでプロファイルが自動で切り替わるならば何の問題もない。2秒は十分に実用範囲内だ。

これでCLIP STUDIO PAINT、Zbrush、Blenderなど自由に同じ操作感で往復できる!

日本語キーボード特有の問題(昔からある左手キーボードの問題)

例えばSynapseにキー登録で半角のカギ括弧開始「 [ 」ボタンを押すと、表示上はなぜか閉じるカギ括弧「 ] 」が登録される。だがその状態でテキストエディタでTartarus Proのキーを押すと、登録した「カギ括弧開始 [ 」が出力される。

なので実はSynapse上での文字表示にバグがあるのだ。

これはどうやらUSキーボード基準のソフトウェアに対して日本語キーボード特有の問題らしく、10年前の左手デバイス設定ソフトにもあったレガシーなバグ(笑)

なので特殊な記号についてはSynapse上での見え方ではなくて、あくまでも登録時に押したキーボード上のキーが重要なのだ。

この辺は昔からあるバグなので諦めよう。

まとめ Tartarus Proはデュアルファンクション化できれば最強の左手デバイス

もちろんデュアルファンクション化させないならば約1.5万円するProよりも、さらに5千円ほど安い約1万円のTartarus V2で十分だと思う。Macでも使えるらしいし。

だが、左手の指の位置を変えずに指の圧力を変えることで1つのキーに2種類のホットキーを割り当てられるのは私にとってはとても魅力的。1つの機能について、プラスの機能・マイナスの機能を、普通押し・強押しで割り当てられれば、ボタンを憶える負担が半分になる上に、インターフェースとしても分かりやすい。普通に押すか・グッと押し込むか、だけなのだから。

よく使うほうを普通押しにしておけば、強押しで逆の操作、というのはとても分かりやすいからだ。

分かりやすければ使いやすい。使いやすければますます効率的な作業ができる。正のスパイラルだ。

Tartarus Proをまともに使える感圧ボタン化する工夫については後日、改めて別の記事で詳しく解説する予定。

今はただ、1つのボタンを普通に押したり強押ししたりしてZbrushのブラシが2種類にコロコロと切り替わるのをニヤニヤしながら眺めている(笑)

大成功に乾杯!なのです。。。

今回の創作活動は約5時間30分(累積 約1,926時間)
(627回目のブログ更新)

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