(約 4,200文字の記事です。)
Houdiniのチュートリアルを実行中。途中経過のただの日記。
今まで謎だったことが分かってきた
以下のシリーズを全て視聴し終えた。最初の4~5個は実際に手を動かしたが、ちょっと思うところがあってそこからは一気に視聴することにした。
BlenderやMayaで謎だった「本当の根幹を成す3DCGの基本的な部分」について割と序盤からしっかり丁寧に解説されていたことに驚いた。今まで何となく謎だったが実務に影響がないからスルーしていた色んなことがハッキリとわかった。もっと早くHoudiniに出会いたかった。
というか、大学の学部選びからやり直したいとすら思った(笑)
だがネガティブな印象もいくつか抱いた。以下は感想。
Houdiniは人を選ぶDCCツールかも
私はプログラマであり他のDCCツールもある程度かじっているので、前提知識は結構ある方だ。その観点で見てもHoudiniはかなりユーザーを選ぶツールだと感じた。
まずはプログラミングの知識の有無。オブジェクト指向の概念が分かっていれば「要するにアレね」で済むことが多い。だがプログラム経験なしで「オブジェクト指向って何ですか?」というレベルから始まると、かなりHoudiniは面倒くさいだけのツールに見えることだろう。本質の理解に辿り着く前に挫折する可能性が高いと感じた。
この時点でHoudiniに対する評価が一気に反転する。一般的には「難しいソフト」という評価になると思う。
3DCGの根幹をきちんと理解できるツール
何となくZbrushやBlenderやMayaで色々やってきた人はそれでいいけれど、例えばプラグインやアドオンを作ろうとすると、「そもそもこれは内部ではどうなっているのか?」という壁に必ずぶつかる。そしてブラックボックスだったならばもうお手上げ。
だがHoudiniは内部処理までかなりクリアに情報開示している。それはすでに最初からの実装段階で、設計思想からも伺える。だからこそ、一般的な感覚では理解しにくいが、エンジニアリングな視点、プログラマ視点から見れば「よくぞそのアクセス経路を残して実装してくれた😍」という実装になっている。
大卒レベルか相応の学習意欲が必要
ハッキリ言って情報工学科の1年次の講義レベルの難易度だ。それだけ深くて専門的な内容になるのがHoudiniなのだ。だからこそ、3DCGに慣れたプロのエンジニアにとっては「業務レベルの改造や3DCGの取り扱い」ができるわけだ。
なので内容が大学の講義レベルの高度な話「からスタート」する。どんなに分かりやすく説明しても大学の講義レベルからスタートするのだ。(序盤の導入だけが易しいがすぐに難易度が上がっていく。)
そういう意味ではHoudiniはプロ向けのプロ用ツールだと感じる。少なくとも初めて3DCGを触る人がHoudiniから3DCGに入ると、楽しさを見出す前に挫折すると感じる。
(その点で言えば粘土コネコネからスタートできるZbrushの分かりやすさは、改めて凄いと思う。ただしUIに関しては独自すぎてそちらで挫折する人は多そうだが……。)
個人的には、MayaかBlenderなどのDCCツールを1つ以上経験した後にHoudiniを触ると「ものすごく学びが多い」ツールだ。ここでもまたHoudiniに関する評価が「各自の経験値によって」一変するのだ。
3DCGの英単語の理解が大前提
この重要性はnoteでもブログでも何度も強調してきたが、やはりというか当たり前にHoudiniでは英単語レベルの英語の理解は必須だ。特に3DCG関連の英単語は知っていないと辛いだけだろう。3DCGにおいて、
- 面はFace(s)
- 頂点はVertex, Vertices
- 辺はEdge(s)
- 単数形か複数形かへのシビアさ
他には速度はVerocity、法線はNormal(s)、他にも例えばdiffuse colorなどなど、カタカナで書いても結局はアルファベットでその意味を理解していないとメニューから辿る際に目が点になって詰むという……。
HoudiniではFaceよりもPrimitiveという単語を使っている。ただしソフトごとに「プリミティブ」が指し示す概念がバラバラなので、これには注意したい。
Mayaでもよく出てきたアトリビュートなども然り。この辺から「あ、その単語、Mayaでもよく出てくるね」と思うようになってきた。
やっぱりMayaは業界標準かも?
Houdiniを学んでみて、改めてMayaの価値を感じる。そして実際にMayaとHoudiniは相性がいい、というかMayaがある程度「Houdiniの持つ概念に近い、3DCGの根幹を成す部分でノード処理の実装」を守ってきた点が大きいのかも知れない。たぶんそれ故にUSD(Universal Scene Description)に対するMayaのなじみの良さにつながっていると感じる。
Mayaが何となく面倒くさく感じる理由がそのアトリビュートとノードの実装由来なせいだと思うが、これを「ユーザーにとって分かりやすくなるようにカプセル化」すると、逆に内部処理的には拡張性ががた落ちになって立ちゆかなくなると思う。
BlenderやZbrushユーザーにとってMayaが取っつきにくい理由は恐らく「内部的にノード処理での(ある程度までは)プロシージャルなモデリング」に起因するのだろう。過去の作業へのロールバックを担保しようとすると途端に色んなことが大変複雑になる。例えばCADでの履歴の一部を差し替えるような。これは実は内部的にはとっても面倒。
それに対して破壊的なモデリングは分かりやすい。ただし部分的なUndoしかできないけれど。でもユーザーにとって分かりやすい。Zbrushはその典型だろう。Blenderもモディファイアを使わなければ基本的には破壊モデリングでメッシュを作っていくことになる。その分だけ分かりやすい。
でもHoudiniを学んでみると、やはりMayaがHoudiniとの相性がいいことがよく分かったし、その理由も理解できた。そしてMayaもHoudiniもUSDにとても相性がいい。
なのでUSDワークフローではMayaとHoudiniは外せないだろうと直感した。
今までは割とモデリング1点で3DCGを考えることが多かったが、USDワークフローという視点で見ればMayaとHoudiniは外せない。今後もそのシェアを大きくしていくだろう、プロの世界では。浸透具合は緩やかかも知れないが。
一般的にはMayaもHoudiniも不要?
たぶんそうだと感じる。MayaについてはBlenderで事足りる。Houdiniに関してはその必要性すら感じない人が99%かなと思う。少なくともヒューマノイドを改造するだけならばBlenderとサブスタンス3Dペインターで十分だろう。あとはUnityを経由して完成させるだけだろうから、編集ツールとしてはBlender, サブスタンス3Dペインター, PhotoshopまたはCLIP STUDIO PAINTでのテクスチャ微調整で十分だろうな、と感じる。
3DCGには色んな分野があるが、3Dプリンタを要する業界については、専門分野ならCAD系1択、アート系ならばZbrushだけでもいけそうだしBlenderも併用すればもう十分だろう。
Maya, Houdiniが必須になるのは動画に関わるVFXまたはゲーム関連だ。動画に関してはBlenderも奮闘している。特にアニメ業界ではエヴァで有名なスタジオカラーがBlenderを部分的に採用したことや、PencilプラグインのBlender対応などホットな話題が多い。
(でもその後があまり続いていない気もしている。)
ゲームといえども数秒という短時間でみれば動画に相当する。モーション1つが数秒の動画なわけで。他にも無限にリピートされるエフェクト系も動画に相当する。なのでMaya, Houdiniは映像作品制作とゲーム製作に必須なのだろう。今更何を言っているの?と業界人に怒られそうだが、私は今までどちらの分野にもあまり関心がなかったのだからしょうがない。
何かを思えば図書館はいつでも口を開いて待ってくれているように、今は「知ろうと思った時がスタート地点」なのだ。それが図書館ではなくてインターネットに置き換わりつつあるだけであって。
【結論】Houdiniは簡単じゃないという印象は変わらず
というわけで今日の結論は大したことは言えない。まだHoudiniの初心者が数時間チュートリアルを実践した程度なので。だがHoudiniは、3DCGの根幹を知りたいと思っている人にとってはとても優秀なツールであり、逆にすぐにポリゴンをいじって形を作りたい人にとっては不要なツールだ。Houdiniが一般大衆にとってメジャーになる日は来ないだろう。ツールが人を選ぶ。そういう性格だ。それがHoudini。
だが私は逆に「むしろ面白い」と感じた。これについても自分の過去の経験が大いに関わるので、他人がそう感じるとは思っていない。人を選ぶツール、それがHoudini。今の結論。
とはいえ、このチュートリアルを見ただけではHoudiniの概要と根幹を理解できただけであって実際に何かを作れるようになるわけじゃない。もっとステップバイステップの丁寧なチュートリアルが必要だ。またチュートリアル探しの旅が始まった。
今回の創作活動は約1時間30分(累積 約3,294時間)
(899回目のブログ更新)
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