(約 2,300文字の記事です。)
ここしばらく、ZbrushとBlenderで、スカルプト、ローポリモデリングの比較を行っている。その過程で気付いたこと。スカルプトでありながら「エッジがキッチリ立ったローポリ的な造形への要求」が高まっている、と。
スカルプトは滑らかさが強み
もともとハイポリメッシュを、法線方向に引っ張ったり凹ましたりして造形するのがスカルプトの特徴だ。そしてある程度以上ハイポリになれば、トポロジに無関係にモリモリと造形できる。そのためには全体のポリゴン数が数百万~数千万になってしまうこともある。サブディバイドするとポリゴン数が4倍ずつ増えるからだ。
Blender2.92アルファ系の実装
まだアルファなのでテスト段階であることを断った上での話。本来Blenderはポリゴンモデリングに強いので、ブーリアン結合によって2つのオブジェクトを使ってブーリアン減算などができる。だがここにきて、スカルプトモードでのダイレクトなブーリアン減算、一般的に言う「トリムブラシ」の実装に力を入れてきた。
Blender 2.92 Alphaで、ラインジェスチャでマスクや切除される領域が「Limit to Segment」オプションで線分の範囲に限定できるようになりました。無限大の平面で切除されないため、使い勝手が格段に良くなると思います。穴あけ以外はボックストリムの出番がなくなるかも。#b3d pic.twitter.com/c13LQSc3tY
— mztn.org (@jmztn) 2020年10月26日
これはどういうことかというと「より直感的にスカルプトモードでもエッジを効かせた切り取り、水平面をベースとしたローポリ的な切り抜き」をスカルプトモードに実装してきている、ということだ。
ただしこのライン投影モードは「あくまでも投影」なので、ブーリアン切り取りではなくて、あくまでもメッシュを平らに潰すだけの機能であることに注意してほしい。なので例えばテンプレのICO球はこのようにハイポリ気味にしないと挙動を理解できない。
その後実践するとこうなる。
追加情報として、ライン描画中にFキーを押すと潰し領域を反転させられる。地味なテクニック(笑)
ただ、これの「潰し」じゃなくてブーリアン減算による「トリミング」ブラシが欲しい。今後に期待。もっともハイポリ気味になれば実質的にほとんど気にならないだろうが……。トポロジ変更の回避に何かしらのこだわりがあるのかな?詳細不明。
これらはつまり、粘土をパレットナイフでスパッと切り取るように、スカルプトモードでのブラッシングでは難易度の高い「真っ平ら」と「鋭利なエッジ」と「鋭利な凸凹」を直感的に簡単に作れることを意味する。
なおZbrushでも筆者のこちらのプラグインを使うとすぱっと切れます。
スカルプトの本質とはちょっと違うけれども
もちろん、スカルプトの本質は、超絶ハイポリをサクサク扱えて、クリエーターがトポロジを意識することなく粘土をこねるように造形できることだ。なので、そういう意味ではブーリアン演算の体現は、サブウェポンというか、第二の手、とも言える。だが一方で、粘土をパレットナイフで切り取ることが現実世界では粘土を真っ平らにする簡単な手順であることもまた確かだ。こういう基本的なことを、スカルプト強化の中にきちんと盛り込んでくるあたりにBlenderのスカルプトに対する謙虚で真摯な姿勢を感じる。好感が持てる。
安定版リリースまでのBlender Ver.2.92系の進化に期待。
今回の創作活動は約1時間30分(累積 約1,962時間)
(637回目のブログ更新)
筆者はAmazonアソシエイト・プログラムに参加しています。(Amazon様の商品を宣伝することで紹介料をAmazon様から頂けるという大変ありがたい仕組みのこと。)
以下の商品名や画像アイコンをクリックしてからAmazon様で何かお買物をして頂ければそのご購入総額の1~2%が私に寄付されます。クリック後に別の商品のご購入でもOKです!誰が何を買ったかは私に通知されませんのでご安心下さい😊
また当サイトは楽天アフィリエイト、バリューコマース Yahoo!ショッピング アフィリエイト、および第三者配信の広告サービス(Googleアドセンス)を利用しています。