今後の活動方針に関するメモ書き

(約 3,600文字の記事です。)

最近、割りとガチで悩んでいる。今後の方向性について。今回はただの日記。

目次

Zbrushの元気がない?

個人的にはそう感じている。多くのユーザーが2023のサブスクに移行していない気がしている。色んな意味で手応えがない。理由も分かる。敢えて年間約6万円も投じて2023に移行したいと思えるほどの強烈な機能が、今のZbrushには感じられない。

大和 司

あくまで主観。もちろん異論は認める。

これに関わる問題は結構私にとっては重要で、色々と考えるべき点が多い。Zbrushプラグイン開発者としてはZbrushユーザーの元気がないと、立ちゆかなくなる。

だが一方で、一人のZbrushユーザーとしては、今のZbrushにあまりメリットを感じていない。いいところもあるけれど、そのいいところは3年以上も前からある「いいところ」であって、ここ2~3年の進化で特にめぼしいメリットを見出せていない。いい意味でも悪い意味でも枯れた感じだ。熟成したとも言えるし、進化していないとも言える。

大和 司

今のZbrushは微妙なポジションに落ち着きつつあるというのが本音だ。

Blender 3.6 LTS リリース

3.6ではとにかく全体的に処理が軽くなった。それ以前では200万ポリがせいぜいだったスカルプトモードも、400万、600万ポリでもモード切替のロードが終わりさえすれば軽快に動くようになった。詳細は各自で試して欲しい。

3.6 LTSでは全体的な高速化チューニングが進められている。それは体感で分かる。もちろんスカルプトについては本質的な機能面でZbrushに及ばない部分も多々あるのだが、全体的に割とよくできていると感じられるようになった。あとは使い方や慣れの問題も大きい。

個人的には超絶初心者がスカルプト体験をするためにはBlenderのスカルプトモードで十分じゃないか?と思っている。Zbrushでなければならない理由を見つけ出すためには、色々な条件を満たす「職業プロ」でなければ厳しいとも感じている。

大和 司

要するにかなりニッチなシーンでしか「Zbrushでなければならない」理由を見出せない気がするのだ。

Blenderの場合、スカルプトモード単体で見るのではなくて、リグやウェイトなどのDCCツールとしての機能が備わっている点も重要だ。もちろんZbrushも最近のアプデでポージングについてハイポリでも何とかうまく処理できる仕組みを導入してきたが、自由度ではリグポージングには及ばない。リグポージングは3DCG業界では枯れきったレガシーな手法であり、それをZbrushで採用できないのは恐らくZbrushの根幹的な設計思想に依存しているためだろう。ZbrushはDCCツールとして作り始められてはいないため、それゆえに超絶ハイポリでも動くのだがその代償としてDCCツールの当たり前な機能を実装できずにいる。これがメリットとデメリットとなっているのが今のZbrushだ。

Blenderとアドオンと、不安感

Blenderも使い込んでいくとどんどんと「特定のアドオン依存」であることに気が付いていく。「もしこのアドオンが次のBlenderアプデに非対応だと非常に困る」というシーンが増えてきた。

Blenderは好きだけれども、イマイチ全力で依存できない気がしているのはこのためだ。「だいたい」はいいのだけれど、細かくキッチリ詰める場合には一抹の不安がついて回る、これがBlenderなのだ。

そしてBlenderは小数点以下の処理に弱い、というのは割とよく聞く話だ、主にプロ同士の会話で。なので「だいたい」はいいのだが、細かく詰めていこうと思うとやはり不安感がある。これがくせ者なのだ。大体いいのだが、ダメなところも突然露呈する。作業がロールバックすることがある。割と頭を悩ませる。なぜこのようなことが……。バグだったりする。

デジタル造型、アナログ造型、最終出力はどうなるか?

話は変わって、物作りのデジタル造型も3Dプリンタの値下がりによってだいぶ敷居が下がった。結果、最終的にものを言うのは最終アウトプットとしての「造型力」かも知れない、ということに気が付き始めた人もいるだろう。3Dプリンタも結局は今現在でも超絶微細な表現力には無理がある。例えば積層痕などの問題だ。例えばフィギュア造型においては最終的にはやすりがけなどのアナログ作業で仕上げることになるだろう。そうなると、そこまでデジタル上での微細な表現は本当に必要なのか?ということに気が付き始めた人もいるかもしれない。

そして「だいたいでいい」ならば、どんなデジタルツールを使っても大体仕上がる。そう、Zbrushでなければならない理由が揺らぎ始めてきた、と感じる。最近ではiOSで動くスカルプトツールも追い上げてきている。

☕ Maya 2024はアニメーションを強化してきた

遅ればせながらMaya 2024をチェックしていた。3月くらいに出ていたのだが、今になってようやく情報収集。2024になってからアニメーション関連の大幅強化だ。モーション編集に関するUIが大きく改善された印象。より直感的にモーションを修正しやすくなっている。タメ・ツメの修正が直感的になった印象だ。

実はこれがきっかけで色々と考え直している自分がいる。

また地味にリトポ機能の強化やリアルタイムブーリアンの強化なども嬉しい。ようやく?とも言えるのだが。

グラフエディタ編集機能の強化

Mayaが何に力を入れようとしているかが分かる。3DCGにおけるアニメーションに注力している。アニメーションと言えば3ds Maxが有名だが、Maya 2024では少し風向きが変わるかも知れないと感じた。主に編集のしやすさ、直感的な操作方法として「グラフエディタをスカルプト的に編集できる機能」を実装してきた。これは確かに分かりやすいし編集しやすいと思う。

USD(Universal Scene Description)の可能性

米ドルのことじゃない。これは主に3DCG分野でのVFXの話、ワークフローの仕組みのことだ。Pixarが2016年に公開したこの手法にはとてもメリットがある。Maya 2024のアニメーション編集の強化とUSDは思い切り関わる。USDは多人数参加で1つの作品を作るワークフローの手段としてとても重要。今までバラバラだったプラットフォームを1つの規格で統一できることのメリットは大きい。

もし仮に個人制作であったとしてもワークフローをUSDで統一して「いつ、何を、どう調整するか」を切り分けておくことでUSDでの作品管理に慣れていれば将来的にメリットがありそうだと感じた。USDについてはMayaは機能的に広範囲に対応を進めてきた歴史がある。それに対して機能面ではBlenderのほうが後発であり、現にBlenderのUSDはボーンアニメーションに(今は)非対応だ。なのでBlenderのUSDでの機能性や信頼性にはまだ疑問が残る。

大和 司

この辺はオートデスクという老舗の有料ソフトのほうが信頼性が高いかもしれない。

今後はMaya, Blender, Zbrushの3本柱にするかも

実は色々悩んでいるが、再びMayaに回帰しようかとも考えている。それと並行してBlenderの可能性を探りつつ、Zbrushのポテンシャルも担保したい。個人的にはMaya, Blender, Zbrushの順で力を入れていきたいと思っている。リスク分散の観点もあるが、習熟期に入ったと思われるBlenderであっても特定のアドオン依存への不安は恐らく今後も続くだろうから、鉄板のMayaを今だからこそしっかり押さえたい。時代に逆行する発想。

大和 司

Maya 2024については実は地味ながら3DCGアニメーションに関する秘めたポテンシャルを感じた。これが割と自分にとっては大きなターニングポイントになるのかも知れない。

ただしほとんどの3DCGユーザーにとっては、つまり一部のプロを除いてMayaはあまり必要とされていないと感じる。需要があるのはBlender+Unityだ。主に仮想空間おしゃべりツールユーザーやClusterユーザーにとって。なのでBlenderへのニーズも高いと思うので需要はありそうだ。そして個人的にはBlenderが好きなのだ。それは間違いない。ただ、依存しすぎるのも危険だとも感じる。頼りない支柱というか。なのでMayaも固めておきたい。そして慣れ親しんだZbrushを捨てる必要もない。

つまり今後は注力する比重を変える可能性があるってこと。

というわけで今後の方針について悩んでいることを日記にしただけでした😊
おしまい。

今回の創作活動は約1時間(累積 約3,283時間)
(895回目のブログ更新)

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