(約 4,500文字の記事です。)
いくらハイポリにしてスカルプトしても満たされない。欲しい所のエッジがジャキジャキしている。なぜ?理由はメッシュの流れがエッジと平行していないから。3DCGにおける立体表現は「トポロジ=メッシュの形状」の影響をける。スカルプト作業自体はZbrushでハイポリにすればチカラ技で何とかできる。だがそれは本当に望む造形か?
3DCGにおける立体表現の自由度とは「トポロジの形の制御、つまりメッシュ形状の制御」なのだ。
ここを見落としているといつまで経っても「ハイポリ」による場当たり的な対処しかできなくなる。技術の上限、表現力の上限にぶち当たる。
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2021/08/06 記事をメンテ。
自由なスカルプト != 自由な形 ( not equal )
Zbrushを長く触っていて、ずっとモヤモヤしていた。作業中盤からの進みが劇的に遅い。サブツール関連の管理操作が増えることも一因だけど、それだけではないと感じていた。だがそこで止まっていた。
ハイポリは細かく彫れるが、ブラシのムラも目立つ。それを消すためにマスク+スムーズブラシ。何か1本でも線を引くとこれが無限に発生する。スカルプトしているんだかポリッシュしているのか分からなくなる。(それはポリッシュ機能を使って自動化してもやっている本質は変わらない。)
……、楽しいか?よく分からなくなった。夢中になってスカルプトできた時期は、かなり昔な気がしている(遠い目)
かといってローポリのままだとZbrushの旨味が引き出せない。細かいところが彫れない。
スカルプトリスプロが実用的になったのは2018だった気がする。よく憶えていない。便利で使いやすいと思った反面、やはりそこから先がなかった。ハイポリの扱いにくさ、難しさの本質は変わらない。
サブディビジョンモデリングとスカルプトリスプロでのモデリングの違いも、UV展開+サブスタンスペインターに辿り着かないと、イマイチ違いを理解しにくい。もちろんBlenderでテクスチャをいじるようになればZbrushでノーマルマップやハイトマップなどをベイクすることの意味とサブディビジョンモデリングの意味とを理解はできたけれど、でもそれで止まっていた。そもそもZbrushでUV展開はおまけ機能でしかなかった。
ハイポリでモリモリこねくり回して、思い通りの形を作ったとして、そこから先がなかったのだ。Zbrush完結以外には。だからBlenderとかUE4とか、外部ソフトの連携を考えると、詰まる。ずっと息苦しかった。GoBアドオンでBlenderと往復させるにしても、結局は200万ポリゴンの壁があって、自由ではなかった。
Zbrushでの自由を握りしめる限り、他のソフトでは不自由だった。かりそめの自由。カゴの中の空だった。いつもカゴ越しの空を眺めていた気がする。
形を作ること、トポロジを制御すること
スカルプトで形を作ることは、実は3DCGで形を作ることの「片側、表面」でしかないことを知った。サブスタンスペインターを学び始めた時にすぐに分かった。なぜローポリでなければならないのか?なぜトポロジが綺麗な方がいいのか?色んなものが一気に分かった。Zbrushでのサブディビジョンモデリングの有効性とスカルプトリスプロのメッシュそのままでは駄目な理由もすぐに分かった。
そしてようやく手動リトポを考えるようになり、すぐにBlenderのRetopoFlowが思い浮かんだ。RetopoFlowはBlender 2.8系が出てからも長らくアルファ、ベータ版が続き、つい最近になってようやくリリース版が出た。過去に何度かベータ版で触ってみたが、いまいちすぎて忘れていた。
だが最近、集中的にこれを学び、記事も執筆し、実用レベルで使えるようになって、ようやく気がついた事がある。
3DCGにおける立体表現において、スカルプト造形表現だけでは足りないんだ、同じくらい「トポロジも作り上げる力」が重要なのだ、と。
Zbrushオンリーでは気付けなかった世界
Zbrushは良くも悪くも特殊だ。数百万ポリゴンを平気で扱える。これだけで相当に凄いことなのだが、普通にできてしまうのだから、Zbrushから3DCGに入ると何が凄いのかサッパリ分からない(笑)だがこれはメリットの側面でしかなく、実はZbrush由来のデメリットももの凄いのだがw (BlenderというDCCツールを触って初めて気がついたのだが。)
何のためのトポロジなの?ローポリ化のため?
トポロジってそんなに大事なの?私は長らく分からなかった。超絶ハイポリをミドルポリに減らすための手段としてしかリトポを見ていなかった。ZRemesherでそこそこミドルポリになる。メッシュの流れはまぁ自動で任せておけばいいや、くらいにしか思っていなかった。ZRemesherGuideLineで多少誘導できる程度だけれど、ポリグループ分けの指示を入れればそこそこ綺麗にリトポしてくれるから。
この程度の認識だった。Zbrush内で完結するワークフローを構築している場合には、それは間違っていない。
だが、それをサブスタンスペインターでお絵描きするためのメッシュにしようと思うと、さすがに色々考える。そしてもちろんサブスタンスペインターオンリーで色を塗るならば、UV展開などどうでもいい。UV展開に価値が出てくるのはPhotoshopやCLIP STUDIO PAINTなどの2次元ツールでお絵描きを追加する場合だ。なるべく正方形に展開できる方が歪みが少ないのでペイントツールで作業しやすい。
だが、サブスタンスペインターオンリーだとしても、トポロジに沿って色を塗り分けたいことも多いだろう。そうなると必然的に、綺麗なトポロジが重要になる。とてもじゃないがZRemesherでの自動トポロジでは駄目だ。
ここで気が付いた。
私はトポロジを制御できない
私はトポロジを制御できない。そのスキルがない。たった1本のエッジすら、自由に制御できないのだ、と。
だがもしトポロジを制御できるならば、立体造形の山と谷に沿うエッジを再配置できれば、無駄にディビジョンレベルを上げてハイポリにする必要はない。形状とトポロジとが一体となっていれば、ハイポリ化する目的は「より精細な彫り込みのためだけ」にポリゴンを密度を上げるためだけで良いことになる。
表面形状とトポロジ制御(リトポ)、この2ステップでようやく「本当に必要な形を3DCGで作り出した」と言えるのではないか?と思うようになった。
RetopoFlowの学習と実践
Blenderのアドオン「RetopoFlow」を使おうと思った。そしてチュートリアルを熟読し、YouTube動画もよく理解し、自分自身で実践した結果、あっさりとリトポができるようになった(笑)
現在もスキルアップ中だが、その過程で得たノウハウをマガジンに凝縮して執筆することにした。
タイトルの通り、無駄なことを省いて「とにかく実践する」ことに集中し、1~2時間程度で即リトポを開始できるようにした。初心者が確実にはまるであろう罠についてことごとく回避策を網羅している。
たったこれだけですぐにリトポができるようになったのだ。苦労などなくむしろ楽しいリトポ作業。
これはやってもらうしか分かってもらえないだろう。
私はなんて長い間、リトポから逃げて無駄な時間を過ごしたのだろう
リトポができてしまえば、再リトポなど何の苦労もない。サクッと直せる。欲しい形に合わせ欲しいトポロジを再構成する。ただそれだけ。10分作業がほとんどだ。それで後工程が劇的に楽になる。なんでもっと早くリトポについて考えなかったのか。
それはRetopoFlowのリリース版が長らく出なかったことも原因だろう。
今、ようやくそれを学ぶときが来たのだろう。
後は実際にリトポをしながら色々試してみたい。
とはいえ「実は何でもかんでもリトポ」については賛成できない部分もあるのだが、それは次回の記事にて。
今回の創作活動は約1時間30分(累積 約2,212時間)
(681回目のブログ更新)
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