欲しい「シワ」は本当に布シミュレーションで作れているか?(Zbrush 2021&Blender 2.9)

(約 2,600文字の記事です。)

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公開されたZbrush 2021やBlender 2.9系で話題の「布シミュレーション」。私も注目していたが、Zbrush2021の公開と共に色々試してみて、ふと「私が欲しいシワは本当に布シミュレーションで作れているか?」という事に疑問を持った、そんな日記。

目次

布シミュレーションは魔法のツールではなかった

最初はBlenderで登場し、Zbrushでも2021で実装された布シミュレーション。だが、色々いじくっているうちに気付いた違和感。それは「そのシワ、本当に布シミュレーションでないと作れないの?布シミュレーション結果が欲しいシワの何割くらい役に立っている?」これだった。

布シミュレーションで自動生成されたシワが、はたして本当に「私が欲しい理想的なシワ」だったのか?ということだ。原点に戻って考えてみることにした。

シワは布の厚さや捻れ、よじれ、ダイナミック感の演出に必要

基準はいつも現実の布製品だ。実際に着たTシャツやスーツ、衣類などのシワを観察することが基本になる。そして、生地の厚さ、硬さに応じて「できるシワ」が変化する。つまり、シワの表現によって逆説的に生地の硬さや厚さを表現することになる。こういう高度なことを、今のBlenderやZbrushの布シミュレーションでシミュレートできているか?を考えれば答えが自ずと見えてくる。

Noである。

Zbrush2021では重力シミュレーションを軸にシワを作れるが、そのコリジョン判定が別メッシュとの半自動ゆえに、肌メッシュにフィットする変形(シワ作り)は得意だが、ワイシャツの上のスーツなどのシワ作りにはちょっと厳しいと感じた。だがこれはBlenderでも同様で、現状の布シミュレーションの限界という印象がある。

逆に肌にフィットする水着のシワやニーソックスのシワなどはZbrushでもBlenderでもうまく生成できそうだ。そう、コリジョン対象となるメッシュと布とが近接していればそのシミュレーション結果は割と使えるだろうが、別の布生地を更に挟んで上にある衣類の場合や、硬い布生地のゴワゴワ感のある厚めの生地のシミュレーション結果には不満が残る。

結論としては、今は、Blender2.9系でもZbrush2021でもシミュレーション結果そのものが直接的に使えるシーンは「ごくごく限られた場合のみ」という印象だ。

そして逆説的に、シワの造形を見た者に「生地の質感」を想起させる事こそが、シワをクリエイトする価値・意味とも言える。

シワの自動生成は手段か目的か

もちろん、ポージング済みキャラの衣類を自動演算でシワをシミュレーションしてくれればそれが一番楽だと思う。だが現状ではマーベラスデザイナーですら厳しいと感じる。BlenderやZbrushでも全自動生成のシワで作り手が満足できるとは思えない。それだけ衣類のシワの自動生成は難しい。そのため作り手の意図的なシワの調整というアナログ作業無しには、作り手の意図が伝わるような造形にはならない。全自動の夢は、まだ夢のままだ。半自動すら厳しい。そうなると、まだシワは人の手によって「作り出さなければならない」レベルにあると言える。

そしてシワの作り方によって、布の質感を表現できるわけだから、まだ作り手の感性によるシワの表現は健在、つまり作り手の技量に依存した造形というのが続く、というのが結論だ。

表現のためのシワ入れ

もちろん今回のZbrush2021によってシワを手動で入れるブラシも強化された。なので実は、自動の布シミュレーションよりも手動のシワブラシの使いこなしのほうが価値があるかも知れない。布シミュレーションは、インターフェースが変わろうがソフトが変わろうが、シミュレーションはシミュレーション。パラメーターと試行錯誤との繰り返しの結果でしかない。だが布ブラシは使い手の技量で見せ方をいくらでも変えられる。そこに技量とノウハウ・使いこなしのコツが出てくる。

Zbrush2021の本当の肝は実は「シワを入れるブラシの使いこなし」

これがこの記事の結論。
布シミュレーションはおまけ程度で、実は実装されたシワ入れブラシの使いこなしへの習熟が今後の肝になる、と私は予想している。これはZbrushに限らずBlender 2.9系でも言える。もちろん、布シミュレーションが高度化してマーベラスデザイナーみたいになってくればまた話は変わるが、現状、シワ入れブラシの使いこなし、つまりイメージ通りのシワを入れられるブラシの選定と使いこなしが肝になってくると考えている。

これ以上は机上の空論になるので控える。現時点での結論は、手動によるシワ入れを、如何にイメージ通りにシワにできるかというブラシの使いこなしが最も本質的かつ効率的なツールの使いこなしにつながる、という事。

今回の記事はこの辺で終了です。

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(606回目のブログ更新)

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