BlenderでZbrushのポーザブル・シンメトリのようなことをするためのTips。今回は前回の記事と異なりBlenderのスカルプトモードでローカル軸での左右対称編集をやるための小技の解説。
前回の記事はこちら。
(約 3,600文字の記事です。)
更新履歴
2024/12/19 公開
単一ボーンにペアレントするだけ
例として「サブディビジョンを数段適用したスザンヌ」で説明する。
事前準備
- (ミドルポリ以上の)メッシュを用意する。例えばスザンヌ。
- メッシュが左右対称であることを確認しておく。
- トランスフォームが全部適用状態になっていることを確認。(XYZの位置が全て0。スケールが全て1)
- メッシュのオレンジ色の原点のX軸の位置が0になっていることを確認。
- メッシュのオレンジ色の原点位置に3Dカーソルが配置されていることを確認。
要するに新規作成してスザンヌを呼び出して、サブディビジョンを3段くらい適用すればこの状態になります。
単一ボーンとのペアレント
- メッシュの左右の中央に単一ボーンを新規作成する(Shift + A>アーマチュア>単一ボーン)
- オブジェクトモードでメッシュをクリックし、Shift + ボーンの順にクリック選択(選択順が重要。逆だと次の手順で「ボーン」という項目が出てこない。)
- Ctrl + P>ボーンをクリック
- ボーンをポーズモードで自由に回転・移動させる
- 斜めに傾けた状態でもオブジェクトのローカル軸に沿って左右対称にスカルプトできる!
しかもスカルプトだけではなくて編集モードでもシンメトリ編集可能。
つまりこの手法ではBlender上でスカルプトも編集モードも両方ともシンメトリ編集ができるわけです!完璧😍
メッシュの配置や回転はボーンのポージングで行なう
メッシュの配置変更や角度変更はメッシュを直接オブジェクトモードで操作するのではなく、ボーンのポーズモードでの変形により行なうこと。
要するにメッシュを直接オブジェクトモードで操作せずに、単一ボーンのポーズ変形として扱うことがポイント。
なぜ単一ボーンにペアレント?
実は色々あるのだが詳細はこちらの有料マガジンに書いた。細かいことが長々と続くので興味のある人のみ読んでくれればそれでOK。詳細を知らなくても使えることは間違いないので。
(実はボーンへのペアレントなしでもできる方法はあるが、割愛。そこに力を入れたいわけではないので。そういう細かい話は有料マガジンで解説予定。)
興味があるひとは是非とも購入をご検討下さい😊
(準備中)
前回の記事では、スキニング後のモデルでは残念ながらスカルプトモードではポーザブル・シンメトリ相当のことができなかった。編集モードでの変形ならば簡易ポーザブル・シンメトリになった。
だが今回は完全にZbrush 2023で登場した「ダイナミック・シンメトリ機能」に相当することがBlenderでもできることが分かった。
あとはBlenderのアプデで将来的に完全版のポーザブル・シンメトリがBlenderのスカルプト機能に実装されることを願うばかりだ。
GoBアドオンによるZbrushとのメッシュ往復可能!
この単一ボーンペアレント済みメッシュだが、何とGoBアドオンを使ってZbrushとのメッシュ往復が可能!しかもボーンペアレント状態は維持されているのだ。なので「どうしてもZbrushで少しスカルプト作業を進めたい!」と思ったときにはポージング状態ででも、もちろんレストポーズに戻してでも、3Dビューポート上で見えるメッシュ状態のままZbrushとの間でメッシュを往復できるのだ!😍
あとは各自で実際に試してみれば分かる!👍
Zbrush 2022でも2023の「ダイナミック・シンメトリ機能」相当が使える!
Zbrush 2023で実装された、いわゆるローカル軸での左右対称編集機能だ。
だがBlenderとGoBアドオンを使えばZbrush 2022でもこの機能を実現できるぞ!Blender側に「レストポーズで正面視でボーンがど真ん中の左右対称状態」を用意し、「ポージング状態で任意の斜め位置」にボーンを配置する。あとはポージング状態とレスト状態とを切り替えてメッシュをZbrushに送ればOK。例えば、
- ZbrushまたはBlenderで正面視でシンメトリなメッシュを用意
- Blender側で単一ボーンをペアレントしてお好みの位置にボーンを移動
- Zbrushにメッシュを転送
そしてもしそれをローカルシンメトリ編集したい場合、
- Blender側をポージング状態にしておく
- 一度ZbrushからBlenderにメッシュを「ポージング状態」で送る
- Blender上でレストポーズに戻す。正面視で左右対称になる。
- 再度Zbrushに戻してシンメトリ編集。
- Blenderに戻してポージング状態にし、再びZbrushに戻す
多少の手間だがこれでほぼ完璧なローカルシンメトリ編集がZbrushで実現できる😍
【宣伝】YT Symmetrizerも便利
Zbrush内でなんとかしたい場合は、(純正のStager機能を使える場合は使うとして、もしStagerに不具合があってメッシュの位置が原点に復旧不能になった場合の最後の砦として)YT Symmetrizerというプラグインを使うと超絶便利です😍
このワークフローを使う場合に万が一Blender側でレストポーズでメッシュの位置が「ど真ん中」に来なくなったときにもYT SymmetrizerでZbrush内でど真ん中にメッシュを移動させてBlenderに転送し、改めて新規の単一ボーンをワールド原点に設置すれば復旧完了です👍(ポージング後のメッシュ位置はBlender上でずれていないか要確認です。問題なければZbrushに転送して終了。)
Blenderのスカルプト機能を使うならもっと楽
ポーズ状態のBlenderと、Zbrush側のポージング済みメッシュとの往復で、直接Blender上でスカルプトしてZbrushに戻す手もある。
というのも前述の記事の通り、Zbrushのダイナミック・シンメトリ機能は微妙な機能が多い。それを使うくらいならばBlenderで編集モードできっちりとギズモを使ったシンメトリ編集のほうが使いやすいかもしれない。
そうではなくて、メッシュの主な位置を変えずに直接ローカルシンメトリ編集をしたいならば、Blenderに戻してのBlender上でのローカルシンメトリ編集しかない。Blenderでのスカルプト練習とギズモ編集を学べば、実用上はほぼ問題なくBlender上でローカルシンメトリ編集はできると思う。その後Zbrushにメッシュを戻せばいい。
要するにZbrush 2022までの機能だけで、ほぼ完全なローカルシンメトリ編集機能がBlenderを使えば手に入るわけです😊
まとめ
今回は前編と後編の2部構成で、BlenderとZbrushの「ローカルシンメトリ」について解説した。Blenderではもともとオブジェクト固有のローカル軸があったが、それを生かしたスカルプトができるとは知らなかった。また逆にスキニング後のポージング中のメッシュを編集モードで疑似ポーザブル・シンメトリ編集ができることも知らなかった。
なので今回の記事では、
- スキニング後のモデルでもAポーズでメッシュ自体がきちんとシンメトリな場合は、ポーズ中でも編集モードで簡易ポーザブル・シンメトリ編集ができる
- 単一ボーンへのペアレントでボーンを変形させる場合、メッシュは編集モードでもスカルプトモードでもローカルシンメトリ編集ができる
- 単一ボーンにペアレントしたメッシュはGoBアドオンでZbrushとの往復ができる
なので、あとは各自の判断になると思うが、ポーザブルシンメトリのフル機能はまだZbrushでしか実現できていないが、簡易ポーザブル・シンメトリでいいならばBlenderでもできることが分かった。また単一ボーンへのペアレントでは完全にローカルシンメトリが実現できることが分かった。
あとはBlenderの進化で完全なポーザブル・シンメトリの実装を待つばかりだ。
だが今の次点でも簡易ポーザブル・シンメトリを編集モードで実現できているという発見は大きかった。
Blenderの進化が少しずつZbrushの機能に迫ってきている。今後の進化が楽しみだ😍
今回の創作活動は約3時間30分(累積 約4,066時間)
(1,022回目のブログ更新)
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