(約 3,600文字の記事です。)
Zbrush 2023.2が登場したので簡単に触ってレビューしてみた。既存のZbrush 2022ユーザーにとってどれくらいZbrush 2023.2が実用的かを私なりに分析してみた。
対象読者は主にZbrush 2022を使っているプロユーザー様です。
詳細は後から出てくる公式マニュアルを参照すればいいとして、今回はとりあえず公式YouTube動画を軽く試してみた。
コンタクト機能の強化
コンタクト機能ってそもそも以前からあったっけ?というくらいZbrush 2023の新機能を使っていない(笑)何がどう強化されたのかよく分からないが触ってみた。
1つのサブツールの頂点を、別のサブツールの頂点位置に移動させる機能
トランスポーズブラシを使って線を引っ張ってから所定のボタンを押すと、引っ張った先のサブツールにスナップするようにメッシュが移動してくれる、という機能。
- 分かりやすいように階段状のブロックを用意し
- 階段の底面の中央からトランスポーズラインを引き出し、ソルジャーの肩パットまで伸ばす
- C1>Applyで肩パットの法線方向に階段が揃うようにメッシュが移動
ただしC1ボタン>Applyは分かったがC2, C3の使い方がよく分からん。と思ったら動画の後半で解説されていた。最初にまとめて話して欲しい。紛らわしいです……。この3つを使うとより正確に位置合わせができるらしい。が、そこまでこだわるならば私ならば後述するBlenderで位置合わせすると思う。
うん、まぁ、たまに便利に使えるんじゃない?
ただしZbrushはCADではないので、厳密な位置合わせに期待している人はいないし、もし平面同士の位置合わせの場合、逆に面の交差でもなく同一平面上に位置合わせされてしまうと、ブーリアン演算時には逆にトラブルになるのかも。結局はギズモでの位置合わせの手間が「少し」減ったくらいかな?と感じる。
2023に買い換えるほどの強烈な機能ではないと思った。というのもZbrushでの総作業時間数と「その位置合わせにかかる時間数(秒数)」を考えると、さほど費用対効果が高いとは思えないため。
特に本当に一発で狙った位置・角度にピタリと収まるのかという疑問。これがダメなら結局は微調整を手動で行なう必要がある。特に法線方向を軸とした回転角度の調整は必須だろう。操作対象は必ずしも円筒形とは限らないのだ。
もちろん便利だと思った人は自分でサブスクして試す価値はある。
Blenderも使える身としては磁石アイコンで面にスナップ吸着させることができる上にドラッグ移動中でもリアルタイムで面法線に沿ってオブジェクトが回転してくれる機能があるので、私はそちらで位置合わせします😊
Blenderの場合のメリットは、後からの微調整がいくらでも可能な点だ。
アンカーブラシには過度の期待は禁物(Blenderのポーズブラシとは異なる)
指関節のポージング造型に便利かもと思ったが、試してみたら指の「曲げ」には弱かった。色々と試したがどうにもしっくりこなかった😭
Blenderのポーズブラシのようなイメージで曲げたかったが、コレジャナイ。結局はマスク作成+ギズモ回転の無限地獄とほぼ変わらない。(実際に動画でも指の変形デモンストレーションでマスク失敗の様子がちらっと写っている。)
ひねり(Twist)ブラシはかなり使いやすい。というのもひねりはZbrushが苦手とするメッシュ操作だったからだ。
ただしアンカーブラシであっても正しくマスクされていることが大前提ではあるが。結局はマスクの下処理作業はなくならないわけだ。
若干使いやすくなった「ギズモ2」だと思えばいい
アンカーブラシは半自動マスク付ギズモというか、2つの白丸の間が基本的な操作対象部位になるので、マスク+ギズモというレガシーなやり方よりも割と分かりやすく直感的に操作できる。
ポージング変更には思ったほど効果的でないかも?
思ったよりもリグポージングのような直感的かつ簡単なポーズ変更はできないと感じた。相変らず「マスク+何かの作業」がワンセットで無限ループすることには変わりはない。
人によってはこの機能を使いたくて2023に買い換える価値はあるかも知れない。関節を一発で曲げることは今までの手法のほうがいいかもしれないが、白丸の間の部位だけを膨らませたり移動させたり、ひねったりする操作は従来のマスク+ギズモよりも早くて直感的な操作ができると感じた。
アンカーブラシは意外と便利かも知れない。
こればかりは各自で1ヶ月だけでもサブスクして試してもらわないと、なんとも言えない。
個人的には「ようやくZbrush 2022を超えそうな使い心地のツール」が出てきたかな?と感じる。だがこれのために年間サブスク約5万3千円(月額サブスクだと5,500円)を出すことについては、まだまだコストの関係で手を出せないユーザーが多そうだ。
何よりもユーザーが二の足を踏むのは「手間をかければこれらはZbrush 2022でもできること」なので、手間の違い・作業効率の「わずかな違いでしかない」とも言える。なので「2022ではできないこと」が今後登場しない限り、強烈な買い換え需要は発生しないかも知れない。
モーフブラシの強化
これは動画を見れば分かるので省略。要するにモーフブラシは過去のある時点の履歴に従って一方的に彫り込みを「なかったこと」に戻せるブラシだ。
可逆ではない点に注意。ある時点の履歴に戻す方向で修正できるがRedoをブラシ機能で再現できていない点に注意。バグ?かもしれない。
レイヤー機能の「ブラシ領域に限定して反映度合いをブラシ強度で制御する機能」とも言える。(レイヤー機能だと全体の表現度合いが変化するがモーフブラシでは領域を指定できるし強度も指定できる。)
この手法はZbrush 2020で実装されたHistoryRecallブラシに近い。そしてこれのデメリットも既知。つまりは過去の履歴をファイル内に保持していなければ後戻りできなくなる点。
人によっては割と魅力的な機能かも知れない。短時間の間に試行錯誤を繰り返し、部分的に「Undoなしに形を元に戻せる」機能はデジタル的なアプローチで便利だ。可逆性という点で2022より優れている。
ただしこの点も2022で「一発造型」に慣れてきた人からすれば、さほど魅力的ではないかも知れない。なのでプロのZbrush使いにとっては「ふ~ん」程度の可能性がある。なので乗り換えまでには至らない気がする。
個人的にはこれの機能だけで2023に買い換えるというのは難しい気がする。特にベテラン造形師ほど造型時の可逆性にはさほどこだわらないのでは?と思う。(元の形に戻せるだけの造型力が既にあるだろうから。)
スポットライトの拡張
要するにスポットライト機能を使って平面画像から立体物を作り出す際の、造型パラメータが増えたってことね。以前よりもブラシを作りやすくなったっぽい。
私はそもそもスポットライト機能を使っていないのでよく分からない。
スポットライトを使っていないならばなおさら2023に買い換えるモチベーションにはならない。
その他のバグの修正
カーブメッシュ作成時のひねり機能が不完全だったものを修正して今はクルクルとねじれるようになったらしい。あまり困っている人がいなかったからここまで放置されていた感があるが、ま、直ったならば問題ないだろう。
【まとめ】アンカーブラシを使いたいかどうか
Zbrush 2023.2ではユーザーがアンカーブラシを使いたいかどうかでその価値が決まると感じた。魅力的だと感じた人はサブスクを1ヶ月でも試してみた方がいい。
逆にアンカーブラシに魅力を感じなければ、他の機能もさほど2022と比較して強力なツールではないので、これまた安心して2022で造型に励んでも何の問題もないだろう。特にハードサーフェスモデラーの場合は、アンカーブラシでのひねり表現などが必要か不要かで、2023への興味が全く湧かない人もいそうだ。
というわけで結論は「アンカーブラシを積極的にワークフローに導入したい」人は2023を試す価値があるし、そうでなければこれまで通りZbrush 2022を使い倒して問題ないだろう。
といわけでZbrush 2023.2の新機能の駆け足レビューでした😊
今回の創作活動は約4時間30分(累積 約3,320時間)
(906回目のブログ更新)
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