(約 3,200文字の記事です。)
Zbrushというソフト、とにかく何もかもが独特で、かなりの初心者キラーなソフト。だが、その分表現力も豊かだ。Zbrushならではの作品群は画像検索してみれば一発で分かる。
主にクリーチャー系が多い。ああいう有機的ででこぼこした表現は、以前はCGでは苦手とされていた分野だが、Zbrushがあっというまにかっさらってしまった。今やハリウッドでは標準的なモデリングソフト。
だが、触れば分かるのだが、とにかく面が荒れまくる。造形しているんだから、整形しているんだか分からなくなる。無限地獄。いつまでこねても全然理想の形に近づかない。なぜだ?
ポリゴン数とか、ブラシのテクニックとか、要素は山のようにあるのだが、今回気付いた大切なこと、それは、
ブラシの直径よりも広い範囲は、ブラシを使わないで整えたほうが綺麗
ということ。Zbrushなのに、ブラシを使わないほうが綺麗って、どういうこと?私はずっとZbrushの先入観に囚われていたのだが、今、ようやく気付いたのだ。
ブラシも設定次第で直径や高さ(深さ)が変わる。ストロークの連続性の設定も影響する
(図はかなり粗めの連続性設定になっていたのに気付かず。それだけでも面が荒れる原因なのだが、気付かなかったんだからしょうがない。)
これ、理論的には、ALTキーを押しながらブラシすれば、ブラシの立体形状が反転するので、真っ平らに戻すことができそうな気もするが、実際には無理。どんなに頑張っても波打つ。最終手段でSHIFT+ストロークで「ならす」ことはできるが、真っ平らにはならない。
つまり、真っ平らにするためには、ブラシ以外のポリゴン操作手段が必要。
同様に、広範囲を整形するならば、ブラシでもりもりってのは、最悪なわけ。使い回しが効かない上に、面も荒れ放題。まさに使い捨ての最終手段。
つまり、マスクして反転させ、マスク外をギズモやデフォーマーで変形させるのが一番早くて効率的。で、その作業が面倒なほどの小さな領域に対しては、ブラシで操作するってのが最速。
ただし、ブラシで作れる立体をきちんと把握している場合の話。ブラシしながら「試行錯誤する」のでは、結局そこに時間が取られる。
なので、ブラシの特性はブラシ練習によって、作品作りとは別の機会にきちんと習得しておく必要があるってこと。
Zbrushのブラシのほとんどは「仕上げ専用」
気付いて驚いたぜ!Zbrushはデジタル彫刻ツールなのだが、硬さや柔らかさは当然ながら感じ取ることができない。これが問題である。なぜかというと、例えば、木で彫刻するならば、最初に紙やすりで作業を始める人はいないだろう?ノミと金槌で外形を作り出し始めるだろう?
ところが、Zbrushだとブラシでも盛れるので、ブラシで作業を始めがちだ。どう考えても非効率。ブラシ作業の量に対して盛り上がる量が少なすぎる。なぜならば、Zbrushのブラシは、ほとんどが仕上げ専用ブラシだからだ。
Move系ブラシで引っ張るのもありだが、それだとギズモ操作と手間が変わらない。むしろ変な方向に移動した場合の修正作業のほうが多い。
つまり、マスクしてギズモで引っ張って、ダイナメッシュする、を繰り返したほうが早い。(Zsphereでもいい)
ダイナメッシュが不要な程度の小さな移動量になって、初めてブラシで「調整する、整える」べきであって、それまではブラシは全く不要だ。むしろ綺麗なメッシュの流れが荒れる原因にすらなる。
Zbrushなのに、ブラシするとかえって手間が増える要因はこれだったのよ。
だから、仕上げ以外でブラシを使うといいことがない。
なんということだっ!
2019/05/08追記
マスク&ギズモ以外にも、IMブラシ挿入や、ダイナメッシュではなくZbrush2019版のZRemesherなど、ブラシ以外で効率的に造形する方法は沢山ある。でも執筆当時のレベルでは分からなかったのだ(笑)
作業のほとんどは、実はマスクと、ギズモかデフォーマー、またはZmodelerで作るべし
なので、9割方は、実は、マスクとギズモとZmodelerによるピンポイント操作で行う「べき」だと気付いた。
領域操作ならマスクと、マスクの縁をぼかす操作と、ギズモ、形によってはデフォーマーでのパラメーター操作で十分ということになる。それでも難しい形は、Zmodelerでピンポイントに動かすことになる。
Zmodelerでのピンポイント作業よりも「効率が良い場合についてのみ」ブラシで少々の頂点移動は可能だが、この場合でも、やはり面の荒れが発生する。それを避けるためには、最初に書いた通りマスクすべき。
仮にマスクしたとしても、面の荒れは発生する。ブラシ作業による「そのブラシの特性」をきちんと知っている場合には、その面の荒れも修正できるが、特性を知らないなら、最初に書いたように、ブラシする回数だけ面が荒れて、なんともならないからSHIFT+ブラシでならしてごまかす、ということになる。何にしても、工数がいきなり増えるので手間がかかる割に、仕上がりがぱっとしないことになる。
それでも必要最低限の範囲にマスクされていれば、SHIFTでのならしで問題ないだろう。
Zbrushを触って遊び終えたら、目先の派手なブラシなんかよりも、まずはマスク切り替え操作とギズモやデフォーマーの特性を覚えたほうが早いです。そのほうが、造形9割に達するまでの時間をかなり節約できます。
ホットキーの重要性がこの頃になって分かってくるはず。
ほおの膨らみとか、鼻先の形とか、そういうのは全身ができてからでも調整できますよ。はよ手足と服と小物を作らんかぃ、ってことです。細部は後回し。
ブラシの特性を知った上でブラシしているか?
だから、ブラシ作業には、とにもかくにも、きちんとそのブラシの特性を体得していないことには、永遠に上達しないのだ。Zbrushの経験値やモデリング数はまったく関係ない。ブラシの特性を知った上で、ブラシの特性をポリゴン上に適用させるトレーニングを過去にしてきたかどうかだけ。
つまり、考えなしにZbrushを使ってモデリングしてきたってだけでは、いつまで経っても上達しないことになる。これは何という落とし穴か。
ブラシ特性は別メニューの練習で習得すること
残りの1割を、ブラシで仕上げることになります。が、ブラシ操作は、作品作りとは別に、試行錯誤して特性を身につけておかないと、永遠に上達しない。ブラシだけでも何種類もあるのだから、まずは1つずつ試して、気に入った、使いやすいブラシから習得してくべし。
結論
- Zbrushだからといって「ブラッシング作業」に囚われないこと。
- 3DCGなんだから、多くの頂点を如何に少ない手間で理想的な形にすることが重要。
- Zbrushのブラシのほとんどは「仕上げ専用」だから、大枠作りでブラシしないこと
- 9割方は、ブラシを使わずに作業することを意識する。(マスクと、ギズモかデフォーマー、またはZmodelerで作るべし)
- (追記)中級者はIMブラシ、カーブブラシ、VDMブラシ、ブーリアン結合&ZRemesherも活用すべし。
- 仕上げ前のブラシ操作は、それでしか整形不能な場合の「最終手段」
- ブラシ練習は、作品作りとは別に行っておく。
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