(約 5,000文字の記事です。)
ここ最近3DCGのトポロジについて考えたり試したりと試行錯誤していたが、結論が出たので完結です。
はじめに
この記事に限らず当ブログでは、デジタル作業、アナログ作業という言葉が出てくる。これはデジタルツールを使っても、デジタル作業とアナログ作業があることを意味する。例えば、
- 単語をタイピングすることはアナログ作業であり、単語を選択してCTRL+C, CTRL+V, CTRL+V, CTRL+V, と連打することとはデジタル作業。
- 毎回正式名称をタイピングするのがアナログ作業であり、省略形をIMEに単語登録して正式名称を呼び出してEnterするのがデジタル作業。
- 描いた絵を消しゴムツールで消すのがアナログ作業、CTRL+Zでアンドゥするのがデジタル作業。
- 同じスカルプトを2度繰り返すことはアナログ作業であり、サブツールのコピペやIMブラシ・VDMブラシから呼び出すのはデジタル作業。
デジタルツールを使っても、アナログと同じ作業をしていては、それはアナログ作業なのだ。デジタルの旨味がない。 当ブログではデジタル作業を追求し、如何にアナログ作業を減らせるかを考えている。そうしないと効率が上がらないし、上げられないからだ。
では本題。
ハイポリの表現力をローポリで表現しようとすることがそもそも無理だった。
そしてどうしてもそれをやるなら、オーソドックスな手段に戻ってしまった。そう、ハイポリからノーマルマップを作って、ローポリに貼り付け、シェーダーの力で疑似的に立体に見せてしまう、従来通りの方法。これならばローポリだし、ノーマルマップの解像度がそのままハイポリの表現力になる。ディスプレースメントマップなら完璧だろう。ソフト側の負荷はとりあえず考慮しないとして。
今回、メッシュの形そのものを、ローポリのままハイポリとほぼ同じ表現を探ってみたが、不可能を可能にしようとしていたから無理。Nゴン許容ならまだしも、四角三角ポリ縛りなら、ますます無理。でNゴン許容ならCADと同じだ。モデリングソフト内のみでしかレンダリングできない。
どうやっても、無理だね、うん。
で、色々試して辿り着いた結論。
結論
- 形を作るならハイポリで構わない
- ポリゴン数を落としたければノーマルマップなどを作ればいい
- ローポリ表現ならハイポリからリトポするよりも最初からポリゴンモデリングした方が結果として早い
- 可動メッシュでトポロジが重要ならばポリゴンモデリングか全部手動リトポの二択。部分的な自動リトポはそれらの結合時の手動リトポで悩むので楽にならない
可動メッシュか非可動か
なので、可動キャラのメッシュについては、その部分は必ず手動リトポになる。そして手動リトポは地道なアナログ作業だ。プチプチやるしかない。この効率はツールの優秀さに依存するがまずはBlender 2.81のポリビルドが基準になる気がする。それを基準にして○○作業がどれだけ楽になるか、でツール類を模索すればいいだろう。
可動させないメッシュなら、ポリゴンモデリングが楽かスカルプトが楽かですぐに決まるだろう。
ポリゴンモデリングとスカルプトの根本的なアプローチ方法の違い
で、問題なのは、ポリゴンモデリングとスカルプトでは、一口にモデリングといっても、考え方や造形方法が全く異なるのだ。Zbrushからモデリングを始めるとここに気付かずに苦労してしまう。私もはまっていた罠。
ポリゴンモデリングは経験値が重要
ここで重要なのは、ポリゴンモデリングは直感的ではなくて、作りたい形に合わせた作り方があって、その手順を体得していないとなかなか進まないということ。球体を作ってから「あ、やっぱりキューブの方がいいや」というのはモデリングのやり直し、全滅を意味する。ポリゴンモデリングの場合には完成型を絵などできちんと決めておかなければならない。そして、作りたい形に合わせて製作手法を自分の引き出しの中から決めて、作業を開始する。
なので、Zbrushでスカルプトに慣れて自由に形が作れるようになり、ZModelerの使い方を理解したからといって、いざそれでポリゴンモデリングで形を作ろうとすると、途端にスピードダウンする。ポリゴンモデリングの経験値がないから、作りたい形への製作手順が脳内の引き出しにないから、四苦八苦してようやく「シンプルな形」に辿り着くことになる。なにせZModelerはポリゴンモデリングが「ギリギリ何とかできる」レベルであって快適なツールではないから、ますます時間がかかるわけで。
ZModelerとBlenderのポリゴンモデリングの考察はまた別の機会にするとして、ZModelerの決定的な弱点は、頂点、辺、面を「飛び飛びで複数選択して」作業することが極めて難しいこと。対してBlenderならSHIFT+クリックだけ。頂点、辺、面の操作がポリゴンモデリングの肝なのに、そこに制約があると、あとは分かるよね?
スカルプトは自由
ハイポリになるため、外部ソフトに出すのに制約があるが、Zbrush内なら自由だ。球から、潰して・削って・キューブにするのも自由。逆も然り。ダイナメッシュでもディバイドでも自由。考えながら、作りながらの連鎖で自由に作れる。下書きなしで作りながら考えることができるのが最大の強み。
だからZbrushでのモデリングに慣れると、ポリゴンモデリングがとても面倒に感じる。直感的じゃないから。
もちろんZbrushでも完成型を絵などにしておけば製作効率がいいのは間違いない。あとは丁寧にスカルプトするだけ。多少はブラシの特性やZbrush特有の便利機能の知識によって造形時間が短くなるだろうが、基本的にスカルプトはデジタル上で行うアナログ作業なので、丁寧に時間をかけさえすれば誰でもゴールに辿り着く。時短するためにはZbrushの便利機能の理解と体得が肝になる。でもそれは造形とは本質的には無関係だ。時間効率だけの問題であって。
スカルプトで作って手動リトポでローポリ化しようと試みた結果
しばらくこれを模索していた。で、結論が出た。
手動リトポも、実はポリゴンモデリングと同じで、形に対するトポロジの組み方の引き出しが頭の中にないと、スピードが上がらない。基本的にプチプチ作業なので、作業しながら考えるとやり直しが多いし、途中でポリ割りの変更になると前後の工程に1行分、または1列分追加する作業が発生し、なかなか進まない。なので手動リトポも経験値が必要だ。これは地道な作業だ。修行といってもいい。
手動リトポする前にトポロジの理想型を(本で)学べ
ということは、手動リトポに習熟するためには、孤軍奮闘よりもそれ用の本を買って「優れたトポロジ」を学習し、それを実作業で体現するだけ、というレベルに達してから実際に作業した方がいいのではないか?素人が四苦八苦しながら実作業でリトポしていては効率が悪すぎる上に、苦痛で、楽しくない。
私はこの記事をもってトポロジの旅は終了するのでやめておくが、本気の人はそういう本を探した方がいいかもしれない。あるいはネットで情報収集。きっと先人が効率的なやり方を伝えてくれているはずだ。そっちを習得してしまおう。
なので、手動リトポで綺麗なトポロジのローポリモデルを作るためには、ハイポリで理想型を完成させることとは全く別の技術の習得が必要だ。綺麗なトポロジの理解と知識が必要だ。スカルプト力とは無関係だから、改めて学習しなければならない。だから私には綺麗な手動リトポができなかったわけ。その知恵がないから。
ミドルポリでいいならZRemesherのほうが一瞬で綺麗なトポロジだった(笑)いや、実際にはその差が大きすぎて笑えなかったけれど。あぁ、時間の無駄だなってね。手動リトポ35分がZRemesherをぼ~と待つ数秒に駆逐された瞬間。デジタルではこういうことがよくある。だからデジタルでは知恵の習得が必要なのだ。
そもそもそこまでして綺麗なトポロジが必要な理由は何か?
これをよく考えた方がいい。綺麗なトポロジを手動で作るのは、完全アナログ作業なので、手間暇がかかる。で、そこまでしてそのトポロジが必要な理由をよく考えよう。もちろん可動キャラなら必須なので頑張るしかない。だが非可動キャラなら、トポロジの必要性をよく考えよう。ZRemesherでミドルポリ+ノーマルマップでもいいのではないか?また3Dプリンタ出力ならばそれは無理でメッシュで形を作っておく必要がある。ハイポリが嫌ならデシメーションマスターで削るしかない。
ポリゴン数削減のための手動リトポはオススメしない。特に元がハイポリならなおさらだ。ZRemesher+ディバイド+投影のコンボだったり、ZRemesherまたはデシメーションマスターでの削減効果が大きいので手動でリトポするメリットがない。
面荒れの少ないつるんとしたモデルがほしいなら
一つはローポリモデリング。BlenderでもZModelerでもどっちでもいいが、手順はポリゴンモデリングになる。これが一番早い。形も綺麗で、ローポリだから面荒れもない。だが、下絵は必要だ。ローポリモデリングは作業だから。試行錯誤が入ると一気に効率が落ちる。面倒臭がって下絵無しで始めると、結局は遅くなる。
もう一つはハイポリでもスムーズブラシや真っ平らにする系統の技術を駆使することだ。ハイポリでもつるんとさせることはできる。そもそも、ポリゴン数と面の綺麗さは無関係だ。ただ、ブラシをかけると荒れやすいってだけであって、整える技術があればいいだけのこと。
アレ?結局ローポリでもハイポリでも、つるんとしたモデルになるじゃん?ローポリにこだわる必要がない……。
まとめ
- ローポリでのモデリングには下絵が必要
- ローポリモデリングでは形に対する作り方のパターン記憶(経験)が重要
- 手動リトポも作りたいトポロジに対する作り方のパターン記憶(経験)が重要
- パターン記憶を増やすためには経験よりもまず先に学習が効率的
- 可動メッシュならば手動リトポしかない
- 非可動メッシュならばノーマルマップ+自動リトポのメッシュが一番早い
- 3Dプリントならメッシュで形を作るしかないがデシメーションマスターなどでポリゴン数は減らせる
- ハイポリほど自動機能によるポリゴン数削減の効果が大きいので手動リトポする必要はない
というわけで知的好奇心でトポロジとローポリとを探ってみましたが、今回で終了です。私にとって必要なのは非可動メッシュなので、別にハイポリのままでいいのです。一手間かけてミドルポリにしてみたところで、別に何も変わらない。ならばハイポリでの完成型がそのまま完成、としていい。ハイポリなら簡単な色つけならばポリペイントでZbrushでできるし。ただし、今後、Quixel Mixerなどを使ってSubstanceペインターみたいなことが無料でできるようになったらそのときにはローポリ+マップもありだろう。が、それはハイポリメッシュがあれば後からでも作れるから、問題ない。
というわけで、2,3日探求した結果、私にはハイポリでよくて、苦労してまでローポリやミドルポリに落とす必要がない、という結論です。深く考えて試行錯誤した結果、結論は割と一般論になってしまったけれど、一度くらいはこういう経験をしておいた方が、3DCGの根本的な理解が深まるのでいいと思った(笑)
今回の創作活動は約2時間30分(累積 約1,232時間)
(434回目のブログ更新)
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