(約 5,400文字の記事です。)
何カットか完成したけれど、製作手法の見直しが必要だと感じた。そんな日記。
とりあえず今日できたカット
手探り&体当たりで作ってみて感じた主なワークフロー
なおメインキャラはゼロから作るのと、ポージングだけの場合と、(将来的にそうなるはずの)リグ入りキャラとでは1カット当たりの手間が違いすぎるので今は除外。
作成系
- 背景
- キャラや小物
- 顔
- ポージング
調整系
- 衣類の調整
- 特殊効果のポスプロ描き足し
- 関節ややシワ
- ライティング
上から順に時間が取られる。リグ入りキャラを作ればポージングは楽になるが、その他の手間は減らず。手抜きでOKのラインがかなり高くごまかしが難しい。簡易化ガイドラインを作らないと時短できない。
「描き方」が「作り方」と「見せ方」になるだけ
絵の表現を3DCGで行うとするとこうなるわけだ。「描き方」が「作り方」と「見せ方」になる。作り方についてはソフトの使い方や立体造形の方法そのものだ。見せ方については質感設定やライティングの方法ということになる。
イメージは頭の中にある。それを具現化するのにこんなにも大変だとは……。何かの情報に基づいて夢想するのが一番手っ取り早いエンターテイメントだな(笑)表現しようとすると途端に自分の下手さ・技量の無さ・知識の無さにぶち当たる。
要するに「地味」なんです!!!
結局、3DCGというと響きはいいが、やっていることは超絶地味なんです。絵を描くのが階段だとすれば、3DCGは緩やかな坂を登るイメージ。じりじり進むし大きな壁はないけれど、あるとき突き抜けるという爽快感もない。ただただ地味な上り坂なのです。知識を一つ得てもまだまだ無限に生まれる謎。ステップではなくスロープ。
プラグインとか作って寄り道してるから遅いのかw
そうかも知れないが、自分にとって必要なツールだから、長期的にはその効率が上回ると信じている。とにかくモデリングツールはZbrush1本に絞っているので、何でもかんでもこれで作れる必要があるし、だからこそその時短ツールは重要なのだ。モデリングについての学習コストはもうかけていられない。どんなに頑張っても「形を作るためのツール」でしかないのだから。万能ナイフをとことん突き詰めることにしたわけで。だからこそ便利ツール開発への投資をしているわけで。
本題に戻ろう。
絵には見る側の情報補完がある
アニメ絵なんて影しかない。だが立体感を感じるのは、見る側が脳内で情報を補完しているからだ。だから良くある話のように、斜めの顔を3DCGで作ったら口をあり得ない方向に大きく変形させないとアニメ絵っぽくならなかったという有名な話がある。つまり絵には必ず情報補完が含まれる。
対して3DCGは3次元空間的に正しいので、レンズの歪みすらもシミュレート結果なので、だいたい正しい。無理矢理曲げない限りは正確な表現になる。ここが難しい。要するにつまらない絵に見えやすい。絵のように人の手による情報の歪曲がない分、できたモノがそのまま見える。ショボい物はショボく、凄い物は凄く見える。これが難しい。要するに印象の問題だ。アートならば印象というのは重要だ。落書きでもいい落書きとくだらない落書きを感じ取るように(ただし主観によるので人によって評価が異なる)。
3DCGは解像度(粒度)、解像感が最初からかなり高い
これがあると思う。3DCGはレンダラーが優秀だと細部まで表現できる。Twinmotionもかなり細かく表現できていると思う。だから妙にリアルだ。だが絵には書き手が決めた解像感で仕上げられる。簡単に言うと1ピクセルあたりの情報をどこまで表現しているかという話。油絵でべたべたにすればかなり粒度が低く抽象的になる。逆にフォトライクだと粒度は高い。
この粒度が高まるほど、手間がかかる。リアルになる分、非リアルな表現が際立つ。悪目立ちしやすい。映画のアリータの表現に賛否両論が生まれるのもこのためだろう。逆にデフォルメとアニメ的な情報の丸め込みは相性がいい。トイストーリーなどのように。
トイストーリー的な情報の丸め込みが必要かも知れない
ソフトがリアルに表現できるからといって、リアル表現に縛られる必要はないと思う。ついつい引っ張られがちだが。デフォルメして情報を丸め、その丸まった情報を世界観とすればあらゆる創作活動の手間が減らせる。表現すべき情報量が減るからだ。背景から、別キャラ、小物など、ワンシーンのために用意すべき物は沢山ある。もちろん有料・無料のアセットを使うことも可能だろうが、初めて使うアセットならば結局は色々テストするが故に時間がかかる。シンプルなねんど細工的表現ならば単純な造形で済む。
創作活動の方向性
そんなねんど細工で世界観を作っていくのか、逆にリアルを追求して1枚絵の質を高めるか。これは人によるだろう。今の私の成果物は中途半端だ。もっとも、これ自体が試行錯誤中なので決まっていないとも言えるけれど。リアル寄りにすればマテリアルなど、何もかもが時間がかかる。その代わり質も上がるだろう。武者修行ならそっちだろう。だが修行するつもりはない。趣味でアウトプットできればそれでいい。なので、ねんど細工でもいいんだ。いいんだな、これが。Zbrushならそれができる。ただ、Twinmotionがやたらとリアルだから、そっちに引っ張られやすい。お手軽だからいいのだが、その分妙にリアルだ。
ただ、アニメでもそうであるように、主要キャラがアニメ絵、背景が油絵やリアルタッチなどは確立された世界観だから、そういう割り切りもあるか?でもそれは絵だから成立するのであって、3DCGで背景のリアルさとキャラの情報の丸まり造形はマッチするだろうか……。このバランスがクリエーターの個性、腕の見せ所、という気もする。
カットを量産する方法とコンセプトアートを作る方法は真逆のアプローチ?
今の私の状態では、カットを量産する方法になっている。過去の線画を3DCG化するためにそうなってしまった。だがそれが本当にやりたいことかというと、ちょっと違うかも知れない。要は、今、線画を3DCG化するということに飽きてきたのだ。ただの作業になりつつある。表現したい一枚になっていないのだ。線画だからある程度の時間でカット数はモリモリできる。だがそれを3DCG化するには、またまた結構時間がかかる。もちろんそこから学べるノウハウもあるので無駄ではないが、最近、ちょっと違う気もしてきた。
3DCGの得意なことは解像度の高さ、リアルさなのだ。だから1枚絵をコンセプトアート的に品質を高めるアプローチの方が向いている。雑なモデリング、手抜きなマテリアル、雑なライティングでは、そこそこのモノまでしかできない。全体的に妥協感がすぐに出る。これが3DCGの弱点かも知れない。
3DCGはある程度の品質にかっちり仕上がる分、乱雑な試行錯誤に向いていない。それをやるためには粗いモデル、低い精度での表現にならざるを得ない。だが絵と違って、絵コンテなら早くて線画なら遅くて緻密、というようにならないのが3DCGの難しいところ。精巧な人体モデルをロボット人形にしてみても、各関節の角度や配置などはモデルの精度にかかわらず、配置する手間は一緒。だから乱雑なイメージボードを3DCGで作ることは難しい。これが絵の強みだろう。2次元表現を平面に表すことのメリットか。3DCGは当たり前だが三次元だから、配置の手間が発生する。その代わり光学的な演算で色や質感を表現できる。だが配置の手間は必ず発生する。ここを手抜きはできない。配置できなければ表現にならないのが3DCGだ。ここのコストが見落とされがちだ。というか私が見落としていた。
どこに配置するの?何を配置するの?光源はどこ?
配置に関するエトセトラはこんな感じだ。水平線にお花の絵を描いて「花が生えている」という訳にはいかない。どんな地面か?色は?質感は?凸凹具合は?土か砂か?で花はどこに生えている?カメラまでどれくらいの距離?画角は?光源は?フィルやバックライトの有無は?色や質感を除いてもこんな具合だ。とにかくきつきつなのだ。そうしないと何も作れないのが3DCG表現なのだ。
もちろんそれらを特定のソフトを通じて実現させる必要があり、それぞれについて操作方法を知らなければならない。紙と鉛筆1本で表現できるところに対して3DCGはこれだけ必要になる。だから単純な表現については、実は絵の方が遥かに早い。デフォルメのオリキャラ+ベタ塗り程度なら絵の方が圧勝だ。表現力や緩さ加減も重要になるが。これを3DCGでやろうとするとかなり大変だ。緩く表現ができないから。情報量が多いのが3DCGのメリットでもありデメリットでもある。
やはりコンセプトアート的に1枚の質を高める表現を追求した方がいいかもしれない
そう考えると、3DCGを使った表現は、アニメ的手法ではなく、1枚のコンセプトアートの品質を高めるための作品作りをしたほうがいい気がしてきた。アニメ表現ならば、3DCGの場合、ダイレクトにアニメーション表現になる。リグを入れてモーション入れて。静止画表現のみで単純なモデルでの絵の表現は、手抜きと思われるかもね。実際それが一番早いのだが。その表現が悪い訳ではないが、自分が満たされるかどうか謎だ。
あるいは、日常的なコマをシンプル化したキャラや小物や世界観で表現し、ここぞというシーンだけコンセプトアート的に作り込むとか?普段はデフォルメキャラで低頭身で手も簡易表現で、ここぞという表現についてリアル頭身でリアル表現で、細部までこだわったコンセプトアートに仕上げるとか。これならば一粒で二度美味しい。量産する手抜きスキルと、コンセプトアートを作り上げるためのスキルの両方を高められる。飽きたら逆に振るみたいな感じで、長く続けられるのでは?
結論
ドラえもん的?ねんどろいど的なシンプル化したキャラで日常表現をし、ここぞという表現についてはコンセプトアート的にリアリティや細部にこだわって仕上げる。
これが一番緩く長く続けられそうだ。緩いキャラでカットを量産し、それにあきたら、あるいはそれと平行して、渾身の一枚のために品質にこだわった作品作りも進める。日常的にはゆるキャラで絵作りを進め、ある一定の期間ごとに気合いを入れたコンセプトアートを仕上げて発表していくというスタイル。これならば技術の習得のモチベーションもあるし、楽に早く作るスキルを高めるモチベーションにも繋がる。
これだな。
というわけで、今後は、
- ゆるキャラでシンプルな表現で日常的に作品を作る方法と、
- 品質にこだわったコンセプトアート的な作品を作っていく方法の、
2つの方法を採用して気分によって切替えながら作品作りを進めてみる、という方針に今決まりました(笑)これならばリグ入れとかしてまでポージングにこだわらなくてもいい。Zbrushでねじる程度でいいし、指の表現も毎度こだわらなくていい。まんまるの手でもいい。要は何をしようとしているかのワンシーンができれば細部の情報はそぎ落とす方向で。髪や衣類のシワなどもなるべく減らす方向で。それならば割と短時間で作れそうだ。1日1カットなどという目標も達成しやすい。そのスピード感で小物などもざっくり簡単に作っていく。アセット探しは検索スキルは上がるが造形スキルとは無関係だし、そもそもそういう丸まった情報の造形表現に合うオブジェクトが見つかるとも限らない。
なので今後は、如何にシンプルに情報を丸めて粘土造形として表現できるかにこだわっていきたいと思います。リアル路線のコンセプトアート作りはその後だな。まずは情報の丸め込みと、丸めた情報の造形作業と、それらを使った世界観が表現できること。これにこだわりたいと思う。あ、結局モデリングの話に戻ってきてしまったので、そういう意味ではZbrushのプラグインを整備しておいたのは結果として良かったのかも知れない。
というわけで長々と書いた日記、ここまで。
今回の創作活動は約3時間30分(累積 約1,015時間)
そのうちモデリング作業 約3時間(累積 約178時間)
(360回目のブログ更新)
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