(約 4,200文字の記事です。)
1月下旬から続いたZbrushのプラグイン開発も今日で一端終了です。BTC, ViSなどの大型プラグインも開発できたし、サブツールヘルパーもリリースできた。今日、普段使っている便利機能をYT Misc Toolsとしてリリースし終えた。
長いようで短い1ヶ月間だった。
Zscript漬けの日々だった。でもそれも今日で終わったのです。明日からは元に戻ります。Zbrushで造形したい。自分で作ったツールで快適に造形したい。Zbrushは開発環境じゃない。3DCGモデリングソフトだ。だから作りたい。
もちろん今日まで作ってきてリリースしたプラグインはとても便利なものばかりなので、これがなかった頃のZbrush作業に比べたら何倍速にもなるだろう。すぐに追いつける。追い越せる。
こんなに大規模になるはずじゃなかった(笑)
BTCの原形が出来て無料でVer.1系を公開した段階で終わるつもりだった。だが、Twitterのとあるユーザーさんの一言が全ての始まりだった。この回転情報はサブツール名と紐付けられないんですか?みたいな内容。文言は忘れたが、要するにそういうことだ。最初は無理だろ~と思ったのだけれど、疲れた頭+酔っ払った頭で考えてみても、アレ?いけるんじゃね?アルゴリズム自体は出来たぞ?となった深夜2時くらい。
んで、翌日からやってみたところ、実装できちゃったんですね。もちろん大変な部分が多かったけど、アルゴリズムで可能なことがついにZscriptでも実現できた。当たり前なのだがこれを当たり前にするまでのなが~い道のり。
でも、そのときの開発ノウハウが「情報をサブツール名に紐付けて管理する」というベースとなったので、頑張った価値があった。それ故にViSがこの世に誕生した。
もちろんそんなことを考える前の設計段階できちんと構造を組み立てておいたのが良かったのだけれど。それでも途中でスパゲッティーコードになりかけた。1つのテキストファイルで書いていた頃だったので。今は9つのファイルで10万文字越えのBTCのソースコード。ViSも7万文字くらいだった気がする。
結局、そのユーザーさんの一言がこの偉大な結果へのきっかけをくれたのだ。ありがとう。便利なツールになりました。使ってみてそう思うもの。サブツール名に紐付いているのは便利だ。その整合を取るための調整も大変だったけど、安定して動くととても便利。回転位置の往復と目玉情報の切り替え往復とをワンクリックで出来るようになった。もはやZbrushは別物になった。
3DCGはデジタルなので、アナログな泥臭いことをなるべくスキップしたい。
そうしないと頂点数の海におぼれることになる。なるべく頂点は触りたくない。頂点を意識するのではなく造形を意識したい。
デジタルなのだからやり直しはきくはずだった。
だがZbrushではそれが出来ないシーンも多かった。デジタルなのにアナログ。これが一つの問題点だった。今までリリースしたプラグインはそれを埋めるべくして開発したものだった。BTCはまさにそれで、自由に配置を原点と元の位置とに戻せる。ViSもサブツールの表示状態を自由に切り替えたり戻したり出来る。何度も同じ作業をしなくて済むように。それをサポートするためのサブツールヘルパー。そしてそれ以外の繰り返し作業を減らすMiscツール類。
一方がいいけど他方が悪いならいいとこ取りすればいい。
両方良くして作業しよう。出来ないなら出来るようにしてしまえばいい。そうすれば出来なかった頃のことなど忘れて前に進める。
YTシリーズでZbrushはかなり快適になった。予測ではなく、開発した作者が使ってそう感じているのだから間違いない。YTシリーズの有利な点は、開発者が使いたいために作ったツールであること。作りっぱなしで終わりではない。道具として使うことこそが目的であり、より便利に使えるならば改良するのは当然だ。今はとりあえず使ってみる段階に移ろうとしているだけだ。停滞ではない。むしろ前進を始めたばかりだ。
モデリングはスピードが命
デジタル環境なんだから早くできるはずなんだ。結果が同じなら早いほうがいい。PCを使うんだからPCの得意分野はPCに任せよう。それを任せられるのがプラグインだ。人の不便を機械の得意に変換して受け渡す手段。なので便利なのだ。だが無料でない。人が心血注いで作った道具だからだ。無料なのは自然界にあるものだけだ。プラグインには十分な価値がある。是非それを体験して頂きたい。
不便は慣れても解決しない
Zbrushは根性論では乗り越えられないほど変なソフトだ。これは間違いない。使いにくいまま何年使っても、やはり使いにくいままなのだ。怖いのは古参がそれに慣れてしまって、そう言うもんだという立場からスタートしていること。デジタルはある日突然世界がひっくり返る。そういう可能性を秘めているステージなのだ。Zbrushはデジタルだ。アナログではない。だからデジタルのいいところを引き出していけばZbrushは他に類を見ないモデリングツールになる。ポテンシャルがいよいよ発揮され始めた。このプラグインたちはその入り口に過ぎない。
多くの人に使ってもらってZbrushを新の武器に高めたもらいたい。時間がかかるのではなくて時間をかけない方法を模索していなかっただけなのだ。このプラグインたちの存在がその証明である。ワンクリック数秒の世界が広がる。
Zbrush用プラグイン「Back To the Center」(斜め配置したパーツを最短ワンクリックで左右対称編集) – YAMATO Tools – BOOTH
Zbrush用プラグイン「Visibility Switcher」(全ての目玉アイコンをワンクリックで一気に復元) – YAMATO Tools – BOOTH
Zbrushのサブツール操作プラグイン「YT Subtool Helper」 – YAMATO Tools – BOOTH
Zbrushを便利にする色々なプラグイン「YT Misc Tools」 – YAMATO Tools – BOOTH
あとはこれらを使って造形を楽しむだけだ。もちろん経験値は低いからねんど細工レベルだが、そもそもそれこそが造形の出発点なんだから問題ない。下手が上手くなるためには上手くなるように作業するしかない。だがそこでそれとは無関係な作業にばかり時間と手間が取られていては上達するはずがない。腕とは別に手間がかかるなら、それはなるべく排除しないといつまで経っても上達しない。このプラグインたちはその無駄な手間をどんどん削ってくれる。なので後は自由に下手に上手く造形を楽しむだけだ。楽しんでいるうちは上達するからね。苦しんでも上達するけれど、手間が多いのはただの無駄だから、それ上達につながらないから。なのでどんどんプラグインを使って手間を減らしていこう。
最後に
YAMATO Toolsをご利用の皆様、とりあえず今日でZbrushプラグインの根本的な部分の開発を終了します。今までお付き合いいただきありがとうございました。とあるユーザー様からの一言がきっかけで、最初は思いもよらなかった高機能化を実現できました。それを生かしてのViSを開発することが出来ました。サブツール名との紐付き処理はとても強力です。なんせサブツールを選んでワンクリックで色々なことが実現できるようになったわけですから。こんなに便利なプラグインを見たことがないよ。私自身も。
後はアマチュアながらクリエーターとしてZbrushを触る側に戻ります。でも可能性はだいぶ広がった。BTC+ViS+サブツールヘルパー+Miscツールズで相当に高速モデリングが出来そうです。といってもかけられる時間が少なくなるから全体の進度は遅くなりそうです。それでもイライラしないでモデリングを楽しめるなら十分に意味があるぞ、と。
というわけで約3週間ほどお付き合いいただきありがとうございました。
バグ報告などあればいつでもDM下さい。今までみたいに超特急での対応は難しくなりますが対応はしたいと思っています。自分でも使うツールですから。
人とのつながりは不思議なものですね。Back To the Center開発が初めてのTwitter運用開始で皆様とこんな感じで今に至るとは、人生は不思議に満ちている。
感謝です、今は感謝の気持ちで一杯です。ありがとうございました。
これからもどうぞよろしくお願い致します。
これから先、諸事情によりまとまった時間が取れなくなるから
そうなる前にどうしてもBTCやViSを開発しておきたかった。焦った理由というか、急いだ理由はその辺にあった。ま、個人的な事情。Zbrushの効率化にこだわったのもそういう理由。今後少ない時間でZbrushを触り続けるためにはとにかく効率的に作業するしかない。今しか出来ない根本的な対策だったのです、プラグイン開発は。だから、どうしてもやっておきたかった。残り時間が少なかったのです。連日のアップデートもそういう理由でした。
今、終わった。
全部終わった。
涙が出てきた。
ついに完成したから、終わっちゃった。
俺はやれた、やれたんだ、と。
前も後ろも見ないでとにかく理想を実現させるためだけに突っ走った。夜が朝になって夜になった日もあった。
飯食いながらコードを見て、布団に入りながらアルゴリズムを考えた日々。
それが終わった。
この刺激的な日々が終わったのです。
何で涙が出てくるんだろう。
海を見に行きたい。
今日までTwitterなどで応援し続けてくれた皆様に感謝を言いたい。
ありがとう。
大和 司
今回の創作活動は約1時間(累積 約761時間)
(189回目のブログ更新)